2021年12月08日( 水 )
by データ・マックス

山口FGの吉村猛取締役の辞任勧告を検証する (2)

  山口フィナンシャルグループ(以下、FG)は10月14日、「社内調査本部による調査報告書と今後の対応方針に関するお知らせ」を発表した。
 調査報告書は2部構成。いずれも吉村猛前代表取締役会長兼CEO(以下、吉村氏)を社内調査した内容が報告されている。
(1)7月26日付【文書1】は、匿名者による「吉村CEOの所業を告発する書面」の調査報告書。
(2)9月30日付【文書2】は、吉村CEOの「新銀行設立の推進を告発する」調査報告書。

~7月26日付の「匿名者による吉村CEOを告発する」調査報告書の概要について~
(1)調査委員会設置の経緯

◆2021年5月初旬、「山口FGを憂える志士一同」名義で、吉村氏を除く山口FGの全取締役に対し、山口FG会長兼CEOである「吉村氏の所業を告発する旨の書面」が送付された。
 これを受けて同年5月14日に開催された山口FGの取締役会(議長/吉村会長兼CEO)は、吉村氏に対する「告発文書に記載された事項等を調査する調査委員会」設置を決議。

◆一方、吉村会長兼CEOは【文書3】の通り、同日付で、「当社およびグループ内銀行における役員異動に関するお知らせ」で、山口FGの代表取締役の異動については、「該当ございません」と発表。

◆いずれも5月14日開催の取締役会議で承認された議案であり、吉村氏と社外取締役を含むほかの取締役との対立が決定的だったことが読み取れる。

<調査目的>
 吉村氏を告発する匿名文書が各取締役に送付され、当該文書に記載されている事項等の事実確認を行うとともに、法令等遵守・ガバナンス・内部統制等の観点から、その適切性を評価

<設置期間>
2021年5月14日から2021年7月31日

<調査対象>
告発文書に記載された事項、および関連する事項

1:調査委員会の構成
同日開催された山口FGの取締役会は、調査委員会の設置を決議。委員として、取締役監査等委員3名および取締役1名を選定。さらに調査委員会は5月26日、社外弁護士委員として梶谷剛弁護士を選任。かつ同弁護士を委員長とし、委員長補佐(岡正晶弁護士)を置くことを調査委員会の全員が合意した。
委員長 梶谷剛 弁護士
 委員 佃和夫 取締役監査等委員(社外/三菱重工業(株) 特別顧問)
 委員   国政 道明 取締役監査等委員(社外/弁護士 国政法律事務所)
 委員   福田 進 取締役監査等委員(社内/常勤)
 委員   永沢裕美子 取締役(社外/フォスター・フォーラム世話人)

2:基本方針
調査の実施にあたっては、次の事項を基本方針とする。
(1)調査対象にかかる事実確認のための調査を行う。
ただし、告発文書の記載内容のうち、風聞ないし伝聞、事実指摘ではなく告発者による主観的な非難中傷、および第三者(既退職者・外部の経営コンサルタント)の諸事情は、その性質上、調査対象とすることは相当ではないと考え、事実確認のための調査対象とはしなかった。
 なお、調査対象とした事項は、「告発事実」のなかで、下線を付した。

(2)吉村氏の職務執行状況を把握し、その適切性を評価。

(3)必要に応じて、法令等遵守・ガバナンス・内部統制等の観点から提言を行う。

<調査方法>
 告発者が匿名であるため告発事実を証明する資料の提出を求めることができないため、山口FGより資料提供を求めるとともに、調査委員会として関係者のヒアリングおよび関連資料の収集を行い検討した。
 なお、山口FG取締役である調査委員にとって顕著な事実については、とくに資料収集を行わずその事実を採用。

<むすび>
 調査報告書の概要の通り、5月14日の取締役会から、吉村猛代表取締役会長兼CEOとほかの取締役との対立が決定的となり、調査委員会は6月25日開催予定の株主総会後の臨時取締役会で、「吉村氏をトップの座から失脚させる」準備を、着々と進めていたことが読み取れる。

【文書1】7月26日付調査報告書(46ページから68ページ参照)

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【文書2】9月30日付調査報告書(3ページから45ページ参照)

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【文書3】5月14日付けの「当社およびグループ内銀行における役員異動に関するお知らせ」

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(つづく)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

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