2022年01月18日( 火 )
by データ・マックス

山口FGの吉村猛取締役の辞任勧告を検証する (3)

7月26日付の調査報告書

 山口フィナンシャルグループ(以下、FG)は今月14日、吉村猛前代表取締役会長兼CEOに対する「社内調査本部による調査報告書と今後の対応方針に関するお知らせ」を発表した。

 調査委員会による7月26日付の調査報告書は吉村氏に対して、(1)第一生命保険事業への関与、(2)地方創生プロジェクトの失敗~独断専行、(3)ワイエムライフプランニングの失敗、(4)行員軽視、蔑視の姿勢、(5)外資系経営コンサルタントとの癒着、(6)業績の悪化、(7)不適切な女性関係――の7項目を告発事項として掲載した。

 以下の文書は、調査報告書に掲載された吉村氏に対する告発事項「(1)第一生命保険事業への関与」についての告発事実である。

 「第一生命の元営業職員による巨額詐欺事件については、各種報道によりセンセーショナルな事件となっているが、この事件に吉村氏は職務上の権限をベースに、当該犯人である(正下文子)に顧客を紹介するよう、支店に強く指示し、正下文子に加担したことは明白である。

 たとえば、徳山支店の顧客である大物医師への紹介。小説『実録 頭取交替』に記載されている元頭取(田中耕三)の要請があったといわれているが、吉村氏は、“頭取交替”の内紛時、田中サイドに味方し、青年将校的に田原鐡之助氏の追い出しに力を発揮したと言われている。

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 ちなみに、吉村氏の結婚式の仲人は田中氏が務めたとも言われている。さらに、保険金詐欺事件が発覚したとき、田中氏は、自身に追及がおよぶことを予想し、証拠隠滅を図るため、銀行、証券各社の自分名義の口座を解約したとも言われている。この行為も吉村氏の示唆に基づくものと言われている」(※調査報告書の黒塗り部分は「正下文子」であり、筆者が記入)。

調査報告書
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 筆者著『実録 頭取交替』(講談社)が調査報告書に出てくる。余談になるが、小説の主人公は維新銀行の「甲羅万蔵」である。甲の下を取れば「田」であり、上を取れば「中」である。甲羅のコウと万蔵のゾウで、「田中耕三」となる。第一生命の正下文子は第五生命の「山上正代」である。その名の由来は、「山」口銀行の「上」層部の絶大なる支援を受けて、「正」に田中頭取時「代」の山口銀行を闊歩していたことにある。なお、小説に吉村氏の名(仮名)はない。

 吉村氏の独裁体制が急速に進んだのは、田中氏が相談役となり、高齢で出社する機会が少なくなったことや特別社友として下関を去ったことが要因といわれている。

 田中氏は今年8月10日頃から肺炎を併発し容態が悪化。周南市の徳山病院に入院していたが、9月12日に亡くなった。享年95歳だった。

 以下は、調査報告書に掲載された告発事実に次ぐ、「調査結果」と「適切性評価」。黒塗りの部分は「正下文子」である。

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魔物が棲みつく山口FGトップの座

 吉村氏は正下氏の保険勧誘に協力し、頭取に昇格。その後、田中相談役の高齢化による権威の衰えと反比例して、山口FG内の絶対的な権力を掌握し、代表取締役会長兼CEOに就任した。しかし、吉村氏は株主総会後の取締役会でクーデターにより失脚、刑事告訴される事態となった。

 山口FGのトップの座には魔物が棲みつく魅力があるようだ。

(つづく)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

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