2024年04月25日( 木 )

建設業界のダンピング排除へ、人材不足はCCUSで解消できるか

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CCUS活用への期待

 国交省はダンピング防止策の一環として、CCUSの普及を推奨している。CCUSとは、建設業に関わる技能者の資格・社会保険加入状況・現場の就業履歴などを登録・蓄積し、技能者の適正な評価や建設事業者の業務負担軽減に役立てるためのシステムを指す(図2)。20年1月には、同省により外国人技能実習生のCCUS登録義務化が施行された。

図2

 CCUSの活用で、技能者のキャリアの「見える化」や、技能者確保、事業者の業務負担軽減などの効果などが期待されている。CCUSに登録されるのは、技能者の個人情報・保有資格・社会保険加入状況などであり、技能者のスキルやキャリアをわかりやすく「見える化」することができ、これにより技能者が適正な処遇を受けているかも判断できるという。賃金上昇と適正な労働環境の整備につながることが期待されている。

 下請は元請に対して技能者の技能・経験を具体的にアピールすることができるなど、CCUSは事業者側にも導入のメリットがある。事業者がCCUSに登録することで、技能者・施主・取引先などに就業環境が整備されていることをアピールすることができ、公共工事の入札過程においても重要となってきている。すでに公共事業の企業評価にCCUSの活用状況が採用されている福岡県では、競争入札参加資格審査において地域貢献活動の評価項目に「CCUS事業者登録」を追加しており、別項目の要件も満たしていれば5点の加点とした。

 ICカードによる勤怠管理の明確化、スキルの見える化による採用の効率化、工事完了後にも入退場情報が確認できるトレーサビリティやコンプライアンスの確保など、事業者の業務負担軽減も見込める。建設業退職金共済事業本部(建退共)との連動が進めば、退職金に関わる事務手続きの効率化も期待される。

【麓 由哉】

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