2024年04月19日( 金 )

本格スタートの韓国大統領選挙(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

両候補はどのような人物なのか

日韓関係 イメージ 与党「共に民主党」の候補である李在明(イ・ジェミョン)氏は、貧しい家庭に育って苦労して弁護士になり、その後、大統領候補にまでなった日本でいう「たたき上げ」の人物である。怖いものなしで、推進力があるといわれる彼の主な経歴は、弁護士とソウル近郊の京畿道・城南市長で、2018年に京畿道知事に当選し、現在に至っている。

 李氏は歯切れのいい発言が持ち味で、どんな質問を投げかけられても、ひるまないというか、臨機応変に対応できることが高く評価されている。都知事としての行政実績もあり、大統領選挙で与党候補になるほど高く評価されていたが、政権交代を強く望む国内のムードと不動産疑惑が重なり、選挙結果はどう転ぶかわからなくなったというのが現状である。

 李氏には、城南市長時代に推進した都市開発に絡む疑惑が浮上している。李氏の側近とされる人物が検察に逮捕されており、今後の捜査結果次第では、大統領選の行方に大きな影響をおよぼしかねない。

 一方、最大野党「国民の力」の公認候補で、前検事総長の尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏は、ソウル大学法学部、ソウル大学法科大学院で学び、1991年、9回目の挑戦で司法試験に合格した検察一筋の人物で、政治キャリアは皆無である。

 尹氏は現政権で検事総長を務めていた人物だが、検事総長を辞任、現在は野党の大統領候補で政権奪還を目指す野党の先鋒となっており、皮肉な構造だといえる。尹氏にも検察総長時代の職権乱用疑惑が持ち上がっている。検察が野党関係者に対し、検察に批判的な与党政治家らを刑事告発するよう働きかけたとされる疑惑である。
大統領選挙の行方

 今回の大統領選挙の与野党候補は、1人は弁護士出身、もう1人は前検事総長である。すなわち、2人とも政治とは無縁の法曹界の人物である。両者の対決は今のところ接戦ではあるが、今後の捜査の行方が選挙戦のカギを握っているともいえる。

 しかし、不動産政策の失敗で庶民の生活が苦しくなり、とくに若者は絶望感に苛まれているといっても過言ではない経済状況なので、与党にとってはかなり苦しい闘いになりそうだ。

 選挙運動の過程で、どのような疑惑が明るみに出るかによって、結果が大きく左右されることだろう。だが、今のところ、野党候補の尹氏が次期韓国大統領になる公算が大きいと筆者は考えている。

 韓国大統領選の結果は、韓国国内のみならず、隣国の日本や、米国などの外交政策にも影響を与えるため大統領選挙の行方に国内外からの注目が集まっている。

(了)

(前)

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