再開発から見る「都市と建築」(1)天神ビッグバンによる再開発の新フェーズ
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天神ビジネスセンターが9月末に竣工した。目を引くのは建築デザインだ。ビルの端部が下に向かって少しずつ後ずさりするようなかたちをしており、見方によっては交差点に向かってビルが幕を開いているような、新たなスタートを象徴するかたちをしている。デザインを手がけたのは世界的な建築家集団Office for Metropolitan Architecture(OMA)ニューヨーク・オフィスの重松象平氏である。本連載ではまず、福岡におけるこれまでの再開発と天神ビッグバンを比較検討してみたい。
これまでの再開発
福岡はこれまで、数々の再開発を経験してきた。ここでは天神ビッグバンと同様、土地集約型の再開発スキームである市街地再開発事業と比較してみよう。
市街地再開発事業は1969年制定の都市再開発法によってできた法定スキームで、中心市街地における狭小な土地を集約し、低層建物に代わって中高層ビルを建てる再開発手法である。福岡では、79年オープンの渡辺通1丁目のホテル・ニューオータニ(サンセルコ)を皮切りに、西新(81年)、千代(88年)、天神(97年)、中洲川端(99年)などでこれまでに8つの事業が実施されている(図)。
過去の再開発事業は、福岡の主要な街区ごとに実施されており、これに旧市電の路線図を重ねてみると、各再開発が路線上に位置し、とりわけ路線の合流地点に位置していることがわかる。渡辺通1丁目交差点、西新交差点などの再開発が実施された場所は、もともと福岡における主要な駅であったわけだ。そういった場所では戦後復興期、木造の低層建築が密集していたが、高度経済成長を迎えて高度利用への要求が高まるにつれ、再開発が行われていった。そこにホテル(渡辺通)やデパート(西新)、ハイブランド(博多リバレイン)などが誘致されていく。当時の再開発報告書を読むと、「商業の振興」や「かつての賑わいを取り戻す」といった文言を多く見ることができる。
<プロフィール>
角 玲緒那(すみ・れおな)
1985年北海道生まれ、札幌市立高等専門学校、九州大学21世紀プログラム、九州大学芸術工学府博士後期課程単位取得退学。専門は建築。現在は歴史的建造物の保存修復に従事する。- 1
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