2022年08月10日( 水 )
by データ・マックス

検証・山口FG「調査報告書」(2)

 山口フィナンシャルグループ(FG)をめぐるスキャンダルは、吉村猛前会長を辞任に追い込んだことで一件落着のように見える。だが、山口FGは健全化したのだろうか。同社が公表した「調査報告書」を検証し、一連の事件の本質を紐解く。

ガバナンスは働いていたのか?

山口フィナンシャルグループ  まずは9月の報告書について検証する。この報告書では、全国紙や経済誌でも取り上げたアイフル社との新銀行を中心に記載。新銀行設立の進め方には問題があり、吉村猛氏の権限逸脱や不適切な言動をとらえ、経営者としての資質がないと断じている。その点は指摘の通りだろう。

 報告書では、吉村氏が勝手にコンサル会社の代表やその関係者に採用内定を出したと記載している。しかし、吉村氏が内定を出したコンサル会社のスタッフの処遇をどのように決着したのかについては触れられていない。

 NetIB-Newsに寄せられた内部告発によると、一部の内定者に対し、架空の勤務実態を基に給与を支払っているという。これが事実ならば、吉村氏を批判するだけでなく、十分に説明すべきである。

 また、報告書は吉村氏の責任のみを問うているが、機能不全の取締役会や監査等委員会、内部監査部門に問題がなかったと言い切れるのだろうか。

 コンサル会社元代表の雇用に関し、元代表の報酬が高額であることを理由に、取締役会に報告すべきであるという議論があったと記載されているが、そのような曖昧なものではなく、会社の規程として定めるべきものである。たしかに報酬は高額であったようだが、外資系の優秀な金融マンは高額な報酬をもらうとも聞く。コンサル会社元代表の給与や実績、事業から得られる収益を鑑みて、不当に高いかを検証していないことが問題ではないか。

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 議論すべきは金額の妥当性だ。自分たちよりもかなり高いから不当というのであれば、ただの感情論でしかない。社外取締役を増やし過ぎたことによって、健全なガバナンスが働いていなかったことも考えられる。

反省すべきは組織としての機能不全

 吉村氏に複数回の辞任発言があったことも資質に疑義を生じさせたと記載されている。一理あるとは思うが、すでに吉村氏とほかの取締役の間で信頼関係が失われていたのであろう。そのような状況での「売り言葉に買い言葉」のような話を持ち出すのは、実に大人気ないように感じる。

 逆にいえば、そのようなことしか根拠に挙げられなかったのではないか。吉村氏の発言が細かく挙げられているが、かなり感情的になった状態での発言と考えられる。おそらく用意周到に記録されたのだろう。

 アイフル社との新銀行構想については、具体的な検討案やプロジェクトチームの細かな経緯を開示し、吉村氏に資質がないことを追及しているのだが、取締役会や監査等委員会、内部監査部門は何をしていたのか。

 吉村氏に責任を押し付けるだけでなく、企業としてのガバナンス、組織としての機能不全を反省すべきだろう。業務遂行の問題でありながら、吉村氏のみの責任というのはあまりにも無責任であり、企業としてお粗末である。

※山口FG「調査報告書」(PDF)
山口FG「調査報告書」(PDF)

(つづく)

【特別取材班】

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