2022年05月19日( 木 )
by データ・マックス

検証・山口FG「調査報告書」(3)

 山口フィナンシャルグループ(FG)をめぐるスキャンダルは、吉村猛前会長を辞任に追い込んだことで一件落着のように見える。だが、山口FGは健全化したのだろうか。同社が公表した「調査報告書」を検証し、一連の事件の本質を紐解く。

調査報告書に矛盾

山口フィナンシャルグループ    9月30日付の報告書では、リテール部門責任者の頻繁な人事異動についても触れた。短期間に人事異動や責任者の降格が繰り返され、自由に意見を述べることを阻害する要因となっていた可能性を指摘している。

 しかし、7月26日付の報告書では、頻繁な人事異動は問題なく、不当な降格もなかったと記載し、9月の報告書と矛盾が生じている。この点からも、調査報告書は恣意的に作成されたのではないかと感じる。

 リテール事業本部長を解任された執行役員の事例が挙げられているが、これは現在も執行役員のOであるとの証言を得た。Oはワイエムライフプランニング社長を経て、執行役員リテール事業本部長に抜擢された。

 Oはワイエムライフプランニングの社長就任日に、わざわざ東京出張中の吉村猛氏に挨拶に出向いているとのこと。上(上司)ばかりを見て、下(部下)を見ない企業文化なのであろう。就任日に社長が出社しないとは、従業員はどのような気持ちであったのだろうか。

 余談だが、Oの前任社長のKは、引き継ぎも行わずに北九州銀行支店長に転任して行ったとの証言も。この点はOに同情すべきと思われる。

 Oが1年も経たずに本部長を解かれたことを問題にしているが、Oの実績については検証されていないように思われる。同社関係者からは、業績不振だったワイエムライフプランニングを再建した実績があるわけでもなく、むしろ執行役員への登用は不適切な人事であったとの指摘もある。

 もともと執行役員として不十分な力量であり、一連の経緯は吉村氏解任の材料として都合よく使われたのではないかとの証言もあった。吉村氏にイエスマンとして登用されながらあっさり裏切るとは、流れを見るに敏な人物なのかもしれない。

「リテール戦略コミッティ」の実態

 報告書に記載されている「リテール戦略コミッティ」についても情報を得た。これは不振のリテール部門を挽回するため、吉村氏の指示でつくられた特命の組織といわれている。

 メンバーは吉村氏によって指名され、愛人とされた女性もメンバーに含まれていたという。吉村氏の独断専行ぶりは大いに非難されるべきだが、コミッティのメンバーには吉村氏の威光を笠に着て、ほかのメンバーを威圧する上席者もいたそうだ。吉村氏がいなくなった今、そうした人物は新たな権力者にすり寄っているのだろう。

※山口FG「調査報告書」(PDF)
山口FG「調査報告書」(PDF)

(つづく)

【特別取材班】

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