2022年01月25日( 火 )
by データ・マックス

検証・山口FG「調査報告書」(4)

 山口フィナンシャルグループ(FG)をめぐるスキャンダルは、吉村猛前会長を辞任に追い込んだことで一件落着のように見える。だが、山口FGは健全化したのだろうか。同社が公表した「調査報告書」を検証し、一連の事件の本質を紐解く。

不自然な点が目に付く9月の報告書

 9月30日付の報告書では、証券会社との提携についても問題点を指摘した。伏せ字で回りくどい書き方をしているが、東海東京証券とSBI証券との関係をめぐる問題である。報告書では、吉村猛氏の独断で東海東京証券との提携を破棄しようとしたことが問題とされている。

 山口フィナンシャルグループ(FG)は東海東京証券との合弁会社であるワイエム証券で証券事業を行っているが、吉村氏の主導でSBI証券との提携を進めた経緯がある。吉村氏とSBIグループの異常な親密ぶりはNetIB-Newsでも報じてきた。ほかの有力地方銀行では見られない関係だ。吉村氏とSBIグループ代表の北尾吉孝氏との関係によるものと言われているが、この点への言及は不足していると感じる。

 SBI証券との提携は、子会社のワイエムライフプランニング(以下、YMLP)をSBI証券の販売代理店とすることで始められた。この提携が東海東京証券との契約違反にあたり、吉村氏は東海東京証券との提携を破棄しようとしていたというのが報告書の概要である。

 不可解な点はいくつかある。YMLPがSBI証券との提携を開始したのは2019年1月。報告書によると、東海東京証券が契約違反の懸念を示したのは20年10月である。この間、東海東京証券が気付かなかったということがあるのだろうか。山口FGは経営計画でIFA事業(証券事業)に注力すると何度も発表しており、SBIグループとの提携についても細かく公表している。

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 銀行本体ではなく、小さな子会社で始めた点も不自然だ。さらに、今でもYMLPはSBI証券との提携を継続しており、問題が発覚した後もSBI証券との提携を破棄する動きはないという。問題発覚後の経緯は不自然であり、小規模であれば黙認するという東海東京証券の内諾があるのではないかとも推測される。

 また、山口FGと東海東京証券グループは両社とも上場企業である。上場企業間の提携がトップのみの専権事項という点も不自然だ。もし事実であれば、トップだけの責任ではなく企業のガバナンスの問題であり、取締役会もほかの執行役員も責任から逃れることはできないだろう。吉村氏とともに責任を取るべきである。

吉村氏と報告書は「どっちもどっち」

 今回まで9月の報告書を検証してきた。吉村氏には大いに問題があったが、この報告書には恣意的なものを感じ、信憑性に乏しいと感じる部分も少なくない。誇大表現ではないかと感じる箇所もある。吉村氏の素行不良には問題があったが、この報告書にも問題があると考えられる。「どっちもどっち」である。

 とはいえ、吉村氏の責任を追及し、対決姿勢がうかがえる報告書となっている。次回以降は7月26日付の報告書を検証していくが、なぜか吉村氏擁護の姿勢すら感じる内容となっている。しかも内容を糊塗し、あるいは隠蔽しようとする意図まで感じる。9月の報告書よりも問題が多いと言える。

※山口FG「調査報告書」(PDF)
山口FG「調査報告書」(PDF)

(つづく)

【特別取材班】

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