2022年01月25日( 火 )
by データ・マックス

検証・山口FG「調査報告書」(5)

 山口フィナンシャルグループ(FG)をめぐるスキャンダルは、吉村猛前会長を辞任に追い込んだことで一件落着のように見える。だが、山口FGは健全化したのだろうか。同社が公表した「調査報告書」を検証し、一連の事件の本質を紐解く。

第一生命保険事案への関与

山口フィナンシャルグループ

 今回から7月26日付の報告書について検証する。多くの内部告発が寄せられながら問題点はなかったという結論となっており、調査に疑念を抱かざるを得ない内容である。NetIB-Newsにも多くの内部告発が寄せられ、取材の結果、告発の内容は概ね事実と考えている。

 第一生命保険事案とは、正下文子氏による巨額詐取事件を指す。吉村氏は第一生命との関係を問題視し、距離を取るよう指示を出したとあり、事実であれば見事な采配である。しかし、NetIB-Newsの取材では、正下氏は吉村猛氏と家族ぐるみの交際を行っていると吹聴していたようだ。報告書は肝心な部分に触れていないと感じる。

 吉村氏以上に問題を感じるのは、山口フィナンシャルグループ(FG)の報告書に対する姿勢である。報告書では、もみじ銀行行員が正下氏による多額の預金を黙認し続けたとあるが、正下氏が地位を得たのは故・田中耕三氏(山口銀行元頭取)の庇護を受け、山口銀行の行員が我先にと正下氏に顧客を紹介した結果だ。正下氏が銀行人事にまで介入していたことは、ベテラン行員の間では周知の事実。もみじ銀行ではなく、山口銀行の問題であろう。

 田中氏と正下氏の関係に触れないばかりか、他行に責任をなすりつけるとは、恥の上塗りというほかあるまい。徳山地区の山口銀行行員で正下氏を知らない者はおらず、つい最近までVIP待遇であったことは誰もが知るところだ。このような状況を山口FG幹部が知らないなど、あり得ないと言えるだろう。

 さらに驚くべきことは、「違法でないから問題ない」という山口FGの姿勢。報告書では「吉村氏の法令等に抵触する行為は認められない」ことから問題なしとしており、地域を代表する金融機関の姿勢として疑問を感じざるを得ない。

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 山口FGは上場企業であり、違法でなくとも道徳的・倫理的に問題があれば、責任が問われても当然だろう。これは吉村氏個人にとどまらず、長年にわたって正下氏という“怪物”を育ててきた山口銀行が責任を問われる問題である。

第一生命子会社の商品を積極的に販売という情報も

 NetIB-Newsの取材では、山口FGの子会社ワイエムライフプランニングで、第一生命の子会社ネオファースト生命の商品を積極的に販売しているとの情報を得ている。

 山口FGが公表した2019年度の「YMFGお客さま本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)に関する取組方針」に基づく取り組み状況によると、ワイエムライフプランニングはネオファースト生命の商品をもっとも多く販売しているという。積極的に販売しているという話は、このことからも明らかである。

 昨年公表された20年度版では、生命保険商品の販売ランキングがなくなっており、NetIB-Newsの報道が影響した可能性もある。いまも第一生命との関係が続いているのではないかとの疑念は払拭されていない。

※山口FG「調査報告書」(PDF)
山口FG「調査報告書」(PDF)

(つづく)

【特別取材班】

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