2022年05月24日( 火 )
by データ・マックス

検証・山口FG「調査報告書」(6)

 山口フィナンシャルグループ(FG)をめぐるスキャンダルは、吉村猛前会長を辞任に追い込んだことで一件落着のように見える。だが、山口FGは健全化したのだろうか。同社が公表した「調査報告書」を検証し、一連の事件の本質を紐解く。

地方創生プロジェクトの失敗

 報告書が引用した内部告発文では、ワイエムツーリズムが岩国市で行った再開発案件プロジェクトの失敗について述べられている。告発文には数億円の損失が発生したとの記載がある。それに対して報告書は、損失額5,200万円と主張している。

 しかし、山口フィナンシャルグループ(FG)が行った地方創生プロジェクトはワイエムツーリズムによる岩国市での再開発にとどまらず、岩国市錦町でのワサビ栽培、ネットの地域情報発信「ここいろ」など多岐にわたっている。

 多くの事業は失敗しており、損失額は膨大なものと考えられる。1つの事案のみを取り上げて、事実と異なるとの主張は欺瞞的だ。また、内部告発文が小さな案件のみに言及している点も不思議に感じる。

ワイエムライフプランニングの失敗

山口フィナンシャルグループ ワイエムライフプランニング(以下、YMLP)は、NetIB-Newsでも問題を指摘してきた子会社だ。グループ内で大きな会社ではないが、吉村氏の期待もあって注目されてきた会社だと言われている。また、7月と9月の両報告書で頻繁に出てくる会社であるにもかかわらず、山口FGの営業現場では名前を知らない者も多いという。実態がわからないとの声も聞かれる。

 取材を進めるなかで、この会社こそ、山口FGの病巣ではないかと感じさせられた。吉村氏との癒着が指摘されたオイバー・ワイマン元代表の助言で設立されたとの情報も。吉村氏との愛人関係が指摘された女性が企画した会社であるとの情報もあった。オリバー・ワイマン、愛人問題、パワハラ体質、第一生命、SBI証券など、さまざまな方面とつながっている可能性もある。

 報告書が引用した内部告発文では、「支店長経験者を(YMLPに)送り込もうとしたが、全員から拒絶」とあるが、報告書ではそのような事実はないと記載している。

 しかし、NetIB-Newsの取材により、支店長経験者をYMLPに異動させた後、退職し歩合制で再雇用するという話が持ち上がり、拒絶した者は銀行に戻ったことがわかった。

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 報告書によると、9名の支店長経験者が異動し、その後に6名が転出、3名が現任。6名が歩合制を拒絶し、3名が受忍したという見方もできそうだ(なお、歩合制度そのものは採用されなかったとみられる)。基本的な点が異なっており、この内部告発文には何らかの意図があったのではないだろうか。

 NetIB-Newsは、YMLPでのパワハラ揉み消し事件(2021年5月17日付【読者ご意見】「1.山口FGの女性を囲いながら仕事を進める社内風土」参照)について報じた。当時の社長はK(21年5月27日付【読者ご意見】「証言2」参照)であり、現在は北九州銀行の支店長に転出している。

 同社ではパワハラが常態化しており、退職者や異動者が相次いでいるとの証言を得ている。当時の専務取締役は達成不可能な目標を部下に課すなどのパワハラを行っていたが、現在はもみじ銀行の支店長という。パワハラの責任を問われるべき人物が居座り、被害者は会社を追われ泣き寝入りというのであれば、同社の未来は暗いだろう。

 退職者のなかには、いくつもの銀行で保険販売の実績を残した中途採用の人材もいたが、執拗なパワハラで会社を追われ、ほかの銀行に転職したという証言もあった。報告書では保険ひろばの業績不振について触れているが、優秀な人材を活用できなかった山口FGにこそ問題がある。保険ひろばには保険販売経験のない銀行員が大量に送り込まれ、営業現場に混乱が起きているという。保険ひろばの業績不振は、山口FGが元凶なのではないか。

 パワハラの揉み消しに関わったとされるYMLPの元経営管理部長、パワハラを行っていたとされる女性は退職したようであり、何らかの力が働いたのではないかと思われる。

※山口FG「調査報告書」(PDF)
山口FG「調査報告書」(PDF)

(つづく)

【特別取材班】

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