検証・山口FG「調査報告書」(8)
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山口フィナンシャルグループ(FG)をめぐるスキャンダルは、吉村猛前会長を辞任に追い込んだことで一件落着のように見える。だが、山口FGは健全化したのだろうか。同社が公表した「調査報告書」を検証し、一連の事件の本質を紐解く。
外資系経営コンサルタントとの癒着
外資系コンサルタントとの癒着とは、オリバー・ワイマン社との関係を指す。5年間で5億円のコンサル料を支払っていたというもので、アイフル社との新銀行問題とともに全国紙や経済誌で取り上げられた。かなり高額のコンサル料であり、コンサルの有効性の検証や評価は適切性に欠けるものの、プロセスに問題はなかったと結論づけた。
不自然に感じるのは、いくつかのコンサル事案の記載がありながら、アイフル社との新銀行に関する記載がない点である。報告書が作成された時点では、新銀行の問題も判明していた。また、高額な報酬でオリバー・ワイマン元代表を雇用しようとしていたことが発覚した後である。
7月26日付の報告書で記載しなかった理由は何か。何らかの意図をもって隠蔽を図ったのではないかと考えざるを得ない。
業績の悪化
報告書が引用する内部告発文では、意図的な粉飾決算の可能性が指摘されているが、報告書は告発内容を否定した。
内部告発文では「実態利益は、地銀の中でも危険水域グループのところと同様な水準」という他行に失礼な表現があり、かなり傲慢な銀行員が記載したものと見受けられる。これは大手地銀のベテラン銀行員に見られる考え方であり、ベテラン行員が書いたものではないかと察せられる。
この記載を受け、報告書では「同程度の水準にある他行も少なくない」と実に息の合った回答を返している。視点が同じなのである。内部告発側と報告書作成側が通じていると考えると辻褄が合うのだが、どうだろうか。
吉村猛氏の評価はどうか。「世間も金融庁も注目するようなさまざまなチャレンジを行っていることは事実であり、この点、吉村氏の経営姿勢は評価されるべきもの」とある。取締役会で吉村氏を解任した後にもかかわらず、かなりの高評価である。なぜ解任したのかがわからなくなってきそうだ。
(つづく)
【特別取材班】
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