2022年05月28日( 土 )
by データ・マックス

検証・山口FG「調査報告書」(9)

 山口フィナンシャルグループ(FG)をめぐるスキャンダルは、吉村猛前会長を辞任に追い込んだことで一件落着のように見える。だが、山口FGは健全化したのだろうか。同社が公表した「調査報告書」を検証し、一連の事件の本質を紐解く。

不適切な女性関係

 NetIB-Newsでは、報告書で引用された内部告発文もクーデター側が仕組んだ可能性があるとみている。報告書が引用する女性関係の告発文は、「吉村氏は個人的スキャンダルの種も抱えていることはご存知ないと思う」ともったいぶった書き方をしているが、山口フィナンシャルグループ(FG)本部内では数年前から周知の事実であり、このような書き方をする必要性はまったくないはずだ。

 NetIB-Newsの取材で、当該女性への接し方には相当な注意を払っていたという証言を得ている。そのいくつかを紹介する。

 ・女性を注意した上司(当時は執行役員本部長)が子会社の社長に左遷された。何とか復帰でき、現在は山口銀行取締役。

 ・女性に「B」評価(山口FGでは「S」~「F」の人事評価があり、標準は「C」)を付けた子会社社長(部長級)が管理職でもないポジション(課長代理級)に降格された。

 ・女性を軽く注意しただけの先輩行員のもとへ吉村猛氏が飛んできて、人間性を否定されるような罵詈雑言を浴びせているところを目撃した。

 ・吉村氏は女性のいる部署に毎日のように顔を出し、関係を隠そうという素振りも見せていなかった。

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 これらの証言によると、吉村氏とこの女性にはかなりの問題があったとみられる。現在、女性は退職を前提で閑職に追いやられているという。現経営陣は掌を返したように接し方を変えたわけだが、寒々しいものを感じる。

 報告書に戻る。この問題は「風評」であり、不当な人事介入や情実人事はなかったと記載されている。その根拠として、同期入社に比べて特段上位に抜擢されていないことを挙げる。しかし、公表されている女性のプロフィール(当時)は次のような内容だ。

(株)データ・キュービック メディア事業部部長
山口県出身。2007年山口銀行に入行、銀行員として資産運用や融資などに従事。その後、山口FGの各事業本部で新規事業の企画立案・実行を複数経験。18年6月、地域の情報やデータを活用した新たな地域活性化を目指す事業構想を描き、(株)データ・キュービックを設立。現在、同社メディア事業部部長兼地域情報ウェブサイト「ここいろ」編集長。

 子会社の部長であり、しかも子会社設立の権限まで与えられていたようだ。報告書では副調査役(課長代理級)となっている。山口FGでほかに副調査役を子会社の部長としている事例はあるのだろうか。

 おそらく、副調査役を子会社の部長としている事例はほかになく、課長程度ではないかと考えられる。情実人事はなかったという説明は、納得のいくものではないだろう。

※山口FG「調査報告書」(PDF)
山口FG「調査報告書」(PDF)

(つづく)

【特別取材班】

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