2024年04月20日( 土 )

MrMax、存亡かけた中期5カ年計画スタート(3)

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 (株)MrMaxは前期決算で最終赤字と無配に転落したのを受け、収益改善に向け中期5カ年計画を策定、今期からスタートさせた。最終年度の2020年3月期の純売上高は前期比9.5%増の1,200億円と微増にとどめ、既存店強化や商品政策の見直しなどで売上高営業利益率を3%に引き上げる。しかし、高コスト構造の改革は手付かずで、売上を伸ばさずに利益を増やせるのか、達成には不透明感が漂う。ディスカウントストア間の競争は激化しており、企業存続をかけた5年間となる。

SuC、出店には限界

mrmax2  MrMaxも販売不振に手をこまねいていたわけではない。

 3年前から、遅まきながら生鮮売場を併設した大型のスーパーセンター(SuC)に進出。14年3月期の小倉北、「リムふくやま」(広島県福山市)、日向、粕屋店に続き、前期は八幡東、唐津、伊万里店の3店を出店した。とはいえ、競争力の低下した従来型DSに代わる新たな事業の柱になるかどうかは不透明だ。

 同社のSuCの生鮮4品はトライアルと異なり、すべて外部の専門業者委託。青果は㈱大分中央農産、精肉は東京に本社を置く㈱オーエム・ツー・ミート、惣菜は㈱むすんでひらいて、鮮魚は㈱オーリンなどに主に委託している。自社では仕入や運営ノウハウがないためだ。テナント委託は手間がかからない半面、自社の営業方針や価格政策を反映しにくい。専門的な技能や知識を持つ人材も育たない。収入は家賃だけで、収益への貢献度は低い。

 店舗面積は7,000~8,000m2と、トライアルが主力とする4,000m2級やルミエールの3,000m2級より一回り大きい。一見すると大型で品ぞろえが豊富になり競争力は強そうだが、規模が大きいだけに運営コストもかかる。規模に見合う売上を上げるには足元商圏だけでなく、広域から集客する必要がある。

 しかし、集客のカナメと期待する生鮮は足元商圏が主な対象で、広域集客にはつながりにくい。生鮮購入客を直営の一般売場に回遊させ店舗全体の売上の底上げを図る狙いだったが、成功しているとは言い難い。安さだけなら、トライアルはじめ競合店は多く、消費者は遠く離れたMrMaxの店舗まで行く必要がないからだ。

 1店あたりの投資金額が大きいため、トライアルのように年20店を超える大量出店が難しく、2~3店が精一杯だ。

 過去3年、SuCの積極出店を続けた結果、財務内容は悪化傾向にある。前期末の有利子負債は333億円と月商の3.49カ月に増大、危険水域とは言わないまでも、それに近い水準に迫りつつある。自己資本比率も23.48%と4期連続低下した。今期の出店を見送るのは、財務上の制約も一因だ。

(つづく)
【工藤 勝広】

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