2024年04月19日( 金 )

MrMax、存亡かけた中期5カ年計画スタート(4)

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 (株)MrMaxは前期決算で最終赤字と無配に転落したのを受け、収益改善に向け中期5カ年計画を策定、今期からスタートさせた。最終年度の2020年3月期の純売上高は前期比9.5%増の1,200億円と微増にとどめ、既存店強化や商品政策の見直しなどで売上高営業利益率を3%に引き上げる。しかし、高コスト構造の改革は手付かずで、売上を伸ばさずに利益を増やせるのか、達成には不透明感が漂う。ディスカウントストア間の競争は激化しており、企業存続をかけた5年間となる。

セレクトも出店見直し

mrmax1 SuCと並ぶ新規業態の「セレクト」も試行錯誤の域を出ていない。
 福岡県福津市の新興住宅地に昨年12月オープンした「セレクト福津店」。人口急増地域で将来性に富む商圏だが、近隣にはイオンモール福津やマックスバリュ、ドラッグストアモリがあり、競争も激しい。セレクトは食品や日用雑貨、医薬品など基本的な生活必需品を重点的にそろえる。だが、生鮮は青果、精肉、惣菜の3品で、品ぞろえも少なく、精肉を除くと申し訳程度に置いている程度。精肉は車で2時間近く離れた春日店で加工したものを持ち込んでいる。惣菜・弁当はすべて外部で加工したアウトパック。SuCと同じテナント委託だが、3品とも追加補充を行っているようには見えなかった。近くにあるルミエール福津店が生鮮4品をそろえ、大半を店内調理しているのとは比べようもない。
 セレクトは標準店舗面積約2,500m2で、足元の小商圏が対象。扱い品目も約2万とDSの半分以下。当初の計画では居抜き出店を活用し、福岡都市圏を中心に17年3月期までに50店に持っていく目標だった。現実には7号店の福津店の後は未定で、今期の出店はない。

ドラッグと競合激化

 セレクトが狙う小商圏は、コスモス薬品とダイレックス、ドラッグストアモリの低価格3社が先行し激しい競争を展開している。安さが重視される加工食品では、MrMaxはバイイングパワーでコスモス薬品とダイレックスにかなわない。コスモス薬品とドラモリのように、医薬品で稼いだ利益を値引き原資に活用することもできない。
 MrMaxの11年3月期決算によると、食品の粗利益率は14.2%。同社はその後、部門別粗利益率を公表していないが、前期はこれを下回ったことは確実。加工食品の粗利益率は食品スーパーだと一般的に18%と言われるが、これを大きく下回る。トライアルやルミエールと対抗するため、粗利を削って売価を安くしているためだ。販管費率が25%近いことを考慮すると、売れば売るほど赤字が膨らむことになる。集客力を強化するには食品の品ぞろえを増強する必要があるが、かといって構成比を高めることは粗利益率を下げ、ただでさえ低い収益水準をさらに悪化させかねないジレンマを抱える。

 
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