2024年04月19日( 金 )

どうする政治参加の促進?田中しんすけ議員に聞く(2)

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 ――若年者への取り組みついて、先進事例を挙げて、具体的に提案されましたね。

 田中 選挙権年齢が来年から18歳まで引き下げられます。今の高校2年生が実際に投票するようになるということで、高校での取り組みは喫緊の課題です。

 全国で言うと、東京都練馬区や福島県などで「模擬投票」をやっています。選挙管理委員会と高校が連携し、実際の国政選挙に合わせて、事前学習から投票までを経験できる内容なのですが、模擬選挙を体験した生徒によれば、「選挙の意義が分かった」など一定の教育効果も認められています。千葉、浜松、静岡など、選挙事務への高校生の参加を推進している政令市もあります。また、岐阜県関市や山口県宇部市では「選挙パスポート」といって、「20歳から平均寿命の80歳までにある約100回の投票機会について、投票する度、スタンプを押し、自分の生涯投票率を記録する」ものを成人式などで配布しています。今度は18歳選挙権になるので、高校入学時に配布したりすることも考えられます。
 県立高校全体で福島県がやっているような模擬投票をやるべきだと思うんですが、スタートして、まずは市立高校4校での実施を求めました。

 ――市教育委員会の答弁は、「公職選挙法改正に伴い、市立高校においても選挙について理解を深める学習が重要であると認識している。今後、文科省や他都市の状況をふまえ、選挙管理委員会と連携しながら市立高校の取組を検討していく」というものでしたね。

田中 しんすけ 市議<

田中 しんすけ 市議

 田中 そういう、あらゆることをやっていかないといけないと思います。模擬投票をすべての県立高校までやれれば、高校生は18歳までに一度は必ずこの模擬投票を経験して、選挙や投票について考えたことがあるということになります。

 今後の未来の有権者という意味では、「小中学生にどうやって政治に関する関心を持ってもらえるか?」という問題意識を持って、取り組みをかたちにしていきたいと思います。
 福岡市でも、給食のメニューを題材に模擬選挙を実施しているケースがあるようですので、模擬選挙だけでなく、児童会・生徒会活動のさらなる活性化を含めた「主権者教育」の充実が求められています。
 また、これは議会としての取り組みになりますが、「子ども議会」も主権者教育の一環として非常に意義があると思っています。学生の夏休みの時期などに、質問や答弁を実際に議場で体験し政策形成までやってもらうという取り組みですが、福岡市議会が一丸となって「若年者にぜひ経験してもらおう!」と議場を貸し出すということが出来ないかと。具体的に提案してぜひ実現したいと思います。

 ――子ども議会では、政策課題に結びつくシビアな問題も出てくるでしょうが、ぜひ実現してください。

 田中 たとえば、私が調べたところでは、政令市の中でも札幌、仙台、さいたま、千葉、名古屋などで実施しています。早いところでは小学校高学年も参加可能です。身の回りの環境問題とかゴミ問題、水などをテーマにして、税金がどう使われて、どういう仕組みで動いているのかとか考えさせられる機会になるし、立場によっていろいろな意見があると知る機会になる。こうすればいいという意見があっても、それはこういう理由で難しいとか、むしろこうした方がいいという意見にも触れることで、合意形成を図っていく、その手続きを経験するというのが非常に大事です。
 私が目指す市議会での取り組みとしては、会派として議会基本条例を掲げていますし、ほかにも、通年議会や出張議会の開催、土日議会や夜間議会など傍聴しやすい仕組みづくりを実現していく必要があると思います。

(つづく)
【聞き手・文:山本 弘之】

<プロフィール>
田中 慎介(たなか しんすけ)田中 慎介(たなか しんすけ)
1978年生まれ。福岡県立筑紫丘高校卒業、九州大学法学部卒業、早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。民間会社を経て、2007年福岡市議に初当選。現在3期目。

 
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