2024年03月28日( 木 )

ご安心を!すべて回収済み~起産建設(株)土屋洋介社長

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

中洲2丁目商業ビルいまだ入居者なし

nakasu_biru 写真の黒い商業ビルは完工して2カ月経過したようである。だが玄関ドアはシャットアウトされており人の動きが見当たらない。この場所は昔々、鹿児島城山ホテルが経営する魚の店=網元があったところである。幾多の土地転がしの結果、写真の飲食ビルが建ちあがった。
 中洲のテナントを斡旋する不動産業者に聞くと「あまりにも家賃設定が高すぎる。入居するような物好きな借り主はいない」と否定的な返事が戻ってくるばかりであった。

 そこに飛び込んできた情報は「ビルオーナー会長が必死でテナント集めに奔走している」というものだった。「そんなに親しいわけでもない不動産業者にも『誰か探してくれ』との必死の形相であった」とある業者は証言する。この水面下情報を漏らしてくれた業者は記者の友人である。「ところで受注した起産建設さんは工事代金を回収できていないのではないか。焦げ付いたら大変だろう」と懸念を示した。
 「ああでもない、こうでもない」と憶測してもしょうがない。起産建設の土屋社長へ直撃インタビューをしてみた。

同業者の回収苦労から学んだ

起産建設(株) 土屋 洋介 社長<

起産建設(株) 土屋 洋介 社長

 確かに起産建設の前期の決算は、売上高5億円前後と急減している。元々は40億円の実力企業であった。それが「受注が激減、大口工事の未回収発生」の条件が揃えれば誰でも心配するには当然である。

 早速、土屋社長に面会すると悠然と応対してくれた。意気込んで面談に持ち込んだこちらとして拍子抜けである。「余裕があるな。どうしてだろうかな」と疑問を抱きながら商売上、無礼な質問をした。「土屋社長!!中洲のビルの工事代金の回収はできているのですか?」。
 まずきょとんとしていた土屋社長は、質問の意味を理解すると笑みを浮かべ始めた。
 「オーナーさんは以前も我々、同業者に迷惑をかけたことを承知していました。春吉の物件でしたが、回収には時間と金がかかったようです。だから今回、請けるにあたって銀行さんの融資状況がいかがなものか調べました。引き渡し段階で全額回収可能になるという判断をして受注した経緯があります。予想通りに今月になってすべて工事代金を満額いただきましたのでご安心ください。私も企業防衛の術は少し心得ています」。
 皮肉に聞こえた。

 土屋社長も自社が注目される背景を充分に御存知である。「前期があまりにも業績が悪すぎました。完工高が4億円足らずで四苦八苦しましたが、あの期には不動産仲介手数料が1億円以上入り助かった特殊要因があります。しかし、今期は完工高18億円の目途は立っています。次期繰り越しの工事もかなりあり、新規物件の契約も10億円抱えるようになりました。底は打ったと認識しています」と丁寧な回答である。

 確かに先代から事業を継承して大口得意先=ヤマダ電機からの受注ががた減りしたという転換期に立たされた。積極果敢な策を打てないままに仕事量を減らしてしまった経緯がある。土屋社長も経営者として辛抱の勉強したことであろう。しかし、どん底からの反転は早かった。同業者のさとうベネックの倒産によってこの会社から優秀な人材が2名、駆けつけてくれた。ここから流れが好転しだしたそうである。

今後の受注戦略

(1)同社は商業施設の建築を得意としてきた。ヤマダ電機に鍛えられてきたのである。今後、この会社からの新規物件は期待できないが、メンテの工事が多い。またスーパー以外の商業施設の建築物件の問い合わせは殺到している。この分野を掘り下げるとのことだ。
(2)医療、老健施設、店舗企画などにはさらに磨きをかける。
(3)宅造ミニ開発のハウスメーカーへの転売、不動産企画事業などなど。

 この(1)~(3)を組み合わせると最低30億円の企業として地域に貢献したいそうである。
 土屋社長は物に動じない人柄に持ち味がある。まだ30代の若さだ。今後の飛躍が期待される

【東城 洋平】

<COMPANY INFORMATION>
起産建設(株)
代 表:土屋洋介
所在地:福岡市博多区吉塚4-9-31
TEL:092-624-3353
FAX:092-623-5050
URL:http://www.kisan-k.co.jp/

建設情報サイトはこちら>>
建設情報サイトでは建設業界に関する情報を一括閲覧できるようにしております。

 

関連記事