2024年03月29日( 金 )

安保法案一発撃沈の決定打あり!

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 安保法案が参議院で審議入りし、28、29両日の特別委員会では同法案の違憲性や後方支援の武力行使との一体性などが議論されている。30日、東京・有楽町の外国特派員協会で、升永英俊、久保利英明両弁護士が記者会見し、同法案をめぐる異常さの根本を明らかにする。

揺らぐ「法の支配」

 今の日本で揺らいでいるのは「法の支配」だ。  東京では連日のように1万人規模の集会やデモが安保法案反対を訴えている。地方でも連日、行動がある。若者も高齢者も立ちあがった。官邸前デモに1万人が参加したり、元首相が参加しているのが「異常な光景」だとしても、けっして違法ではない。「法治国家」は保たれている。  揺らいでいるのは、「法治国家」ではない。「法治国家」にしばられるのは国民・市民である。権力者といえども法の支配に従わなければいけないのが、「法の支配」だ。

いちばんの異常事態

(左から)久保利英俊、升永英俊、伊藤真各弁護士(写真は、2015年3月19日、東京高裁前)<

(左から)久保利英俊、升永英俊、伊藤真各弁護士
(写真は、2015年3月19日、東京高裁前)

 升永弁護士が目を向けるのは、憲法学者の多くが「違憲」と指摘する安保法案を、審議、採決、成立させる「国会議員の正統性」である。日本のいちばんの異常事態が、ここにある。
 「国会活動をする正統性のない議員(=違憲状態国会議員)が、安保法をつくる国会で成立させることは、狂気の沙汰である」と、升永弁護士は指摘する。

 升永弁護士らは、衆参両院選挙(比例代表を除く)が憲法の定める人口比例選挙(「一人一票」)に反し無効だと求めている、いわゆる「1票の格差」訴訟の代理人である。最高裁大法廷判決は、2012年衆院選、2013年参院選をそれぞれ違憲状態だと判断した(選挙そのものについては有効だとした)。
 最高裁の5人の判事は2014年大法廷判決の補足意見で、「投票価値の不均衡の是正は、議会制民主主義の根幹に関わり、国権の最高機関としての国会の活動の正統性を支える基本的な条件に関わる極めて重要な問題であって、違憲状態を解消して民意を適正に反映する選挙制度を構築することは、国民全体のために優先して取り組むべき喫緊の課題というべきものである」と述べている。

 升永弁護士の解説は、こうだ。
 「主権者は国民であって、国会議員ではない。正当に選挙されたからこそ、国会議員が『国民の代表者』として合法的に国会活動できるのであって、投票価値が不均衡である違憲状態の選挙で当選した国会議員には、国会活動の正統性がない。医師国家試験に落ちた人は医療行為をできないし(ニセ医者)、運転免許試験に落ちた人は自動車を運転できない(無免許運転)のと同じである。違憲状態の国会議員には、1秒たりとも立法する資格がない」。

狂気の沙汰に国民は気付いていない

 有名医大付属病院の医師がニセ医者だったのがわかれば、大ニュースになるだろう。「日本の首相、国会議員(ただし選挙区選出)は存在自体が違憲状態で、正統性がない」というニュースは、外国特派員協会での会見を通じて全世界に配信されるだろう。  日本国民は、その異常にまだ気付いていない。
 憲法審査会で憲法学者3人が「違憲だ」と指摘するまでは、安倍晋三首相は、昨年7月に集団的自衛権を行使できる閣議決定をしても、今年4月に米議会で夏までに法案を成立させる対米公約をしてきても、違憲立法であることをまったく気にせず、「成立間違いなし」と、タカをくくっていた。なにせ、衆議院で与党が3分の2以上の議席を占めているのである。
 ところが、憲法学者3人の指摘によって、違憲だという問題が一気にクローズアップした。自民党元幹事長ら「重鎮」4氏が日本記者クラブで会見し、安保法案反対を後押しした。政局は潮目が変わり、景色が変わる様相をはらんできた。国会会期を95日間延長し、「60日ルール」を使って衆議院で再議決できるというが、安倍政権にとって60日間何事もなく時間が過ぎるわけではない。あともうひと押しの決定打が出れば、安保法案は「60日ルール」を使うこともできず、立ち枯れするだろう。

 その決定打は、「国会活動の正統性の無い違憲状態首相、違憲状態国会議員が、安保法(戦争法)を国会で成立させることは、狂気の沙汰である」という世論が広がることである。
 これが、腹の底まで落ちたら、世論は変わる。
 若者のコールに「違憲状態国会議員!法律作る資格なし!」と登場するまで国民に浸透すれば、安保法案は撃沈する。安倍違憲状態首相(ニセ首相)もおしまいである。

【山本 弘之】

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