2024年04月26日( 金 )

潮目が変わった安倍政権

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 NETIBでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、潮目が変わり、今後安倍晋三政権のつるべ落としの凋落が加速することになるとする、8月1日付の記事を紹介する。


 「潮目が変わる」という言葉がある。情勢の変化を指す。大潮の潮の流れは速い。上げ潮は勢いが強く、このまま海に呑みこまれてしまうかに見える。ところが、潮目が変われば、今度は逆に、どこまでも潮は引いてゆく。「山高ければ谷深し」とも言う。

 2012年12月の総選挙で自民党が大勝した。野田佳彦民主党が自爆解散を行ったからだ。野田佳彦氏は2009年8月の総選挙で、「シロアリを退治して、天下り法人をなくして、天下りをなくす。そこから始めなければ、消費税を引き上げる話はおかしいんです。」「マニフェスト、ルールがあるんです。書いてあることは命懸けで実行する。書いてないことはやらないんです。それがルールです。」と声を張り上げて叫んだ。

 野田民主党政権の「潮目」が変わるきっかけになったのは、本ブログによる「野田佳彦のシロアリ演説」公開であった。
総理方針を全面批判する民主議員の極秘映像公開

 野田佳彦氏は、「シロアリを退治しないで消費税を上げるのはおかしい」と絶叫して総選挙を戦いながら、「シロアリ退治なき消費税大増税」に突き進んだ。総理になるために、財務省に魂を売ったのである。
 2012年1月15日に、「野田佳彦のシロアリ演説」をブログで公開したことが「潮目」を変えたのである。

 消費税大増税に突き進み、民主党が大敗するタイミングで総選挙を実施して、安倍晋三自民党に大政を奉還した。安倍晋三自民党は、まさに「敵失」によって政権を手にしたのである。
 その安倍政権が野田政権の超緊縮財政運営を積極財政に切り替えた。米国金利が上昇し始めたタイミングで日本が金融緩和を強化して、急激な円安が進行した。円安はもれなく日本株高をもたらす関係が続いていた。この環境下で、円安・株高が進行して、安倍政権は強いフォローの風を受けた。これを「アベノミクス」としてメディアがもてはやした。この「アベノミクスバブル」で、この政権が2年半も持ちこたえてしまったのである。

 しかし、安倍政権は民主主義の基本を忘れて暴走した。衆参のねじれ解消をよいことに、民主主義の根幹を踏みにじる大暴走を始めたのだ。
 民主主義の根幹は、主権者が国民であるということ。国の未来を左右する問題について、決定権を持つのは主権者国民である。この基本を安倍晋三氏は踏みにじっている。

 そして、もうひとつの基本は、すべての政治行動は「憲法」に縛られるということだ。「憲法」は政治権力の暴走を防ぐために存在する。政治権力といえども、憲法の前には従順でなければならない。これが「立憲主義」という、民主主義のもうひとつの根幹である。

 安倍晋三自民党は、原発、憲法の平和条項、TPPの三大問題において、主権者国民の多数意見を踏みにじる行動を強行している。そして、憲法の規定を数の力で破壊しようとしている。
 このために、安倍政権の存在は、日本政治の「矛盾」になっている。「矛盾」あるものは、必ず衰退する。これが自然の摂理だ。

 立憲主義と法の安定性を否定して、憲法破壊を強行する礒崎陽輔首相補佐官は辞任に追い込まれることになる。その次は文科大臣の責任問題に移る。ここから、安倍晋三政権のつるべ落としの凋落が加速することになる。

※続きは8月1日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1206号「安倍政権を瓦解させる永田町の巨大地殻変動」で。


▼関連リンク

・植草一秀の『知られざる真実』

 

 

関連記事