2024年03月29日( 金 )

回復期リハビリの要、セラピストを育てる(1)

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広義の解釈がもとめられるセラピスト

midori_img 「セラピスト」という言葉は、日本では心理療法等を営むサイコセラピストや、五感を刺激してリラクゼーションを提供するリラクゼーションセラピストなどを指すことが主であった。しかしセラピーとは元来「療法」を意味しており、その意味する範囲は広い。
 リハビリテーション療法の担い手である理学療法士(Physical TherapistまたはPhysio Therapist、略称PT)、作業療法士(Occupational Therapist、略称:OT)、言語聴覚士(Speech-Language-Hearing Therapist、略称ST)などもセラピストである。

 これらの業種は国家資格であり、リハビリテーション専門職として医療従事者(コ・メディカルスタッフ)の一員として働くことができる。
 理学療法は、理学療法士及び作業療法士法(1964年制定)に基づき、身体に障害のある人たちに対しで、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行わせ、電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加える。
 作業療法は、理学療法士及び作業療法士法(1964年制定)に基づき 移動、食事、排泄、入浴等の日常生活活動に関するADL訓練・家事、外出等のIADL訓練・作業耐久性の向上、作業手順の習得、就労環境への適応等の職業関連活動の訓練・福祉用具の使用等に関する訓練・退院後の住環境への適応訓練 ・ 発達障害や高次脳機能障害等に対するリハビリテーションを行う。
 言語聴覚士は言語聴覚士法(1997年制定)に基づき、音声機能、言語機能または聴覚に障害のある者についてその機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助を行う。

 理学療法士および作業療法士については、もともと主に加齢や事故などによる身体に機能障害を持つ人たちを対象としていたが、現在は脳卒中や心肺疾患、内科、難病疾などによる身体的な障がいや、運動能力の発達が遅れた新生児なども対象となっている。言語聴覚士も先天性、後天性を含め、小児から高齢者まで幅広い。

 リハビリテーションは人の身体機能の回復を目的とし、「国民の健康寿命を延ばす」という国策にも適うことから、今後の活躍が期待されている。リハビリテーション専門の病院では彼らを総称してセラピストと呼ぶことも多く、今後、日本においても「セラピスト」という言葉が広義の意味で認識されていくことも予想されている。

(つづく)
【黒岩 理恵子】

 
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