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2015年08月21日 15:10

柳川商店街再生の試み(4) 地域づくりにマーケティング発想を! 

 前回、柳川市には年間130万人近くの観光入込客があるが、これを柳川商店街に取り込めていないという現状について述べました。
 そこで、柳川商店街では、主要顧客層である地域住民の利便性向上、満足度の向上とともに観光客誘導も図ることが重要であるとの考えから、まずは、現状調査・分析に取り掛かりました。
 現状調査に当たっては、中小企業庁の「平成25年度地域中小商業支援事業(地域商業再生事業)」のうち、「地域状況調査分析事業」という補助事業に応募、採択されました。
 この事業は、壱岐市の活性化事例でも触れましたが、2009年8月に施行された「地域商店街活性化法」に基づくもので、地域商店街がコミュニティ機能の再生によって活性化することを目的としています。このため、商店街が、地域のまちづくり会社やNPOと一体になってコミュニティの再生を行うことを求めています。
 そこで、柳川商店街では、柳川市に本拠があり、国際化へ対応できる青少年の育成や地域コミュニティ活性化を図る活動を行っている、特定非営利活動法人WING福岡と共同でこの事業に取り組むこととしました。事業の期間は、13年夏から14年3月末までです。
 以下に「地域状況調査」の概要を紹介します。調査は、各種行われていますが、とくに08年5月に撤退したマルショク跡地の利活用策に重点を置いてそのニーズを探っています。
 まずは、商店街の一般的な課題発見を目的とした消費者グループインタビュー調査から見てみましょう。

【地域住民グループインタビュー調査】

グループインタビュー実施風景<

グループインタビュー実施風景

 グループは2グループ。59歳以下と60歳以上の主婦グループです。
 両グループとも柳川商店街に親しみを持っているものの、マルショクの撤退により郊外の大型店の利用が多くなっており、柳川商店街の利用はよほど馴染みの店の利用か、当用買いが主体になっており、商店街の復活や食品スーパーの立地を望んでいることに変わりはありません。利用したいのはやまやまだが、買いたいものがない、1カ所で買えない、だから郊外の大型店の利用が増えるという図式は、いずれの地域商店街においても同じです。
 そして、若い主婦の方は、皆さん子どもさんとの関わりで商店街との接点を持っており、商店街がコミュニティの形成の場ともなっています。
 商店街およびマルショク跡地への要望は「どの世代も安心して楽しく交流できるスペースに!」というのがキーワードであり、ターゲット別に具体的に見ると、次のような内容でした。
●未就学児童~小学生
・子ども会のソフトボール大会など行事を通じて、商店街の人とつながることができた。何かあれば商店街でと思っている。
・子どもが学校から帰って、遊びに出るという発想があまりない。家でゲームをしている。子どもに近くて安心な商店街で過ごさせたい。
●中高生、専門学校生
・集える場所を作ってあげたい。親世代が中高生の時には、集まっておしゃべりする店が商店街にはあって楽しかったように。
・ブラスバンドなど、いろんな発表の場を作ってあげたい。
・小物やクラフトなど楽しいお店を!
●主婦
・必要な物、好みの物を買いたい。あれば、近い商店街をもっと利用したい。
・カフェスペースで、話題のスイーツや各地方の名産品を味わいたい。柳川の物は当たり前すぎて、興味がない。期間限定で楽しみたい。
●高齢層
・徒歩や自転車だから疲れてしまう。座ってホッとして、コーヒーやお茶を飲みながらおしゃべりしたい。
・商店街で買い物できて、人とふれあって、(高齢者)一人でも自立した生活がしたい。
・商店街が団結して、盛り上げてほしい。積極的に消費者のニーズに応えてほしい。

 商店街にとって、多様な層から多様な意見が述べられており今後の課題が明確になりました。
 次は、このグループインタビューという定性的な意見(データ)を数量的に把握する必要があります。このため、住民・消費者アンケート調査と柳川商店街会員アンケート調査が実施されました。その結果は、次回以降にご紹介します。

(つづく)

<プロフィール>
100609_yoshidaM&R 地域マーケティング研究所
代表 吉田 潔
和歌山大学観光学部特別研究員(客員フェロー)、西日本工業大学客員教授、福岡大学商学部非常勤講師。

 

 
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