2024年04月26日( 金 )

屋根空間を空中の楽園にし、我が国の家庭を変える(前)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 (株)栄住産業は40年前の創業時より、金属屋根、金属水平屋根、および地下から陸屋根までの防水、漏水工事を手がけ、1979年5月に福岡市に本社を移転。九州全域に金属防水によるバルコニーの普及を始めた。そしてそれらの技術力を駆使して、約20年前から屋上緑化の提案を実施している。その事業展開は、同社代表の宇都正行氏が、屋根の緑化を通じて、我が国の家庭を明るく、楽しく、そして安らげる環境に変えたいという一心によるものだ。業界内外で同社の取り組みが注目されるなかでの、現況と将来をレポートする。

金属防水工法のエキスパート

ryokuka (株)栄住産業は、1975年に鹿児島市で創業し76年2月に有限会社として設立された。創業時より下屋部分をフラットにし、そこをバルコニーとして使う。バルコニーを金属防水するという工法を採択し、試行錯誤のうえに他社にない技術を構築した。そして施主が“遊び”のスペースを設けることで、より充実した住まいを創造することができる。そのような技術とサービスを持てば、地場工務店の繁栄のお役に立てるという一心で、工務店への営業活動を展開し続けた。

 だが、当時の住宅業界では、「傾斜のある屋根でも雨漏りするのに、フラットにするなど考えられない」「下屋部分をフラットにするなど、木造住宅ではあり得ないこと。タブーだ。このような工法を採用して施工したら、工務店は非難されて潰れてしまうよ」と、ほとんどの工務店が拒絶反応を示した。それでも同社の宇都正行代表は、「将来的に必ず必要とされる」という気持ちと、「自社の金属防水は、どこに出しても誇れる技術である」という不退転の意志で、工務店に対して、丁寧に金属防水工法の素晴らしさを説いて回った。

 そのようななか、次第に宇都代表の提案を支持する次世代の工務店経営者が現れ始め、「ぜひとも下屋部分をフラットにした金属防水工法を採用したい」との受注が出始めた。また、実際にフラットなバルコニーが完成した後、施主と工務店から賞賛の声が届くなど、同社の提案するフラットな屋根は高い評価を得ることとなった。当時、業界にあった(今でも一部で残っている)屋根をフラットにするというタブーは、宇都代表の柔軟な発想と弛まない技術の開発と情熱により、見事に克服され、新たな木造住宅のスタイルをつくり出した。

 その同社の金属防水工法は、現在の屋上緑化・庭園の礎となる同社ブランドの『スカイプロムナード』の開発につながっていく。『スカイプロムナード』は、耐久性・防水力に優れたステンレス・鋼板に表面保護膜加工を施し、建物の揺れなどに対応できる『オープンジョイント工法』を用いたもの。我が国で最初に「パッシブハウス」として認定された住宅の屋根にも、同社の『スカイプロムナード』が採用された。「パッシブハウス」とは、ドイツのパッシブハウス研究所が規定する性能基準を満たす認定住宅のこと。ポイントは、利用できる自然エネルギー(太陽・風・水・樹など)を逃さず、住宅設備を最小限に抑えることが可能な住宅である。これからの住宅像の理想形とも言えるスタイルで、そこで採用されたことは意義深い。同社は、我が国における業界屈指の金属防水工法のエキスパートである。

(つづく)
【河原 清明】

<COMPANY INFORMATION>
(株)栄住産業
代 表:宇都 正行
所在地:福岡市東区原田3-5-6
設 立:1976年2月
資本金:9,800万円
売上高:(15/3)56億5,451万円
TEL:092-622-6292
URL:http://www.eijyu.co.jp

 
(中)

関連キーワード

関連記事