2024年04月21日( 日 )

若者は生き残りをかけ、教育、自己研鑽を!

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 国鉄の解体後、JR九州の初代代表取締役社長として企業の発展はもちろん、九州の発展にも尽力してきた石井幸孝氏。同氏は現在では福岡城市民の会理事長として活動し、地域の発展に寄与している。
 そしてもう1人、福岡市役所のさまざまな部署で経験を積み、現在は(有)カワセの代表取締役社長を務める川瀬輝彦氏。何と先祖は黒田藩藩士だという。
 今回はそんな類希なる経歴を持つお2人に、「福岡城天守閣の再現」が果たして可能なのかどうかについてお話をうかがった。
 だが、冒頭、思いもよらず「次代を担う若者たちに思うこと」で話が盛り上がったため、本題に入る前にまずはそちらの内容をご紹介したい。

kouen 石井 私は趣味で昔からスキーをやっているんですが、滑るために北海道まで足を運ぶんですよ。
 川瀬 私も昔スキーをやっていたんですが、雪質がこちらとは全然違いますよね。
 石井 大変滑り易いんですよね。ただ、今スキー場へ行くと、本当に若い人を見かけないんですよ。
 川瀬 そうですか。一時期、スノボーが流行った頃なんかは、スキー場も若者たちでかなり賑わっていましたが。
 石井 ええ。それが今ではまったく見なくなりました。信じられますか?北海道でスキー場が潰れたりしているんですよ。
 川瀬 そうなんですか。1つには、最近の若者たちはインドアを趣味にする人が多いというのもあるんでしょうが・・・。
 石井 若いうちから体を動かしていないと、年を重ねてから苦労することになるんですけどね。
 川瀬 実は兄が学校で教鞭をとっていまして、最近の若い人は汗をかいて何かを得ようということに、あまり積極的ではないようなんだと言っていましたね。
 石井 確かに時代や環境は変わったとはいえ、あまり良いことだとは思えませんね。苦労を覚えることで、得られるものもありますし。たとえば、お隣の韓国やイギリスを訪問した際に気づかされたのですが、わたしが電車で席に座れずに立っていると、遠くからでも若者が席から立って寄ってきて、『どうぞ座ってください』と席を譲ってくれるんですよ。
 川瀬 それはすごいですね。
 石井 こういった光景が当たり前に見られるのは、学校教育がしっかりしていることもあるのでしょうが、究極的にはやはり家庭内での躾がきちんとできているかどうかだと思います。日本ぐらいのものじゃないでしょうか、子どもが先生に叱られると親が出ていって先生を叱責するなんていうのは。
 川瀬 何で叱られたのか、本当は親がきちんと子どもに説明して、次からはどうすればいいのか、改善策を一緒になって話し合うことが大切なんでしょうが、そういった余裕がない家庭が増えてきているのも事実だと思います。私は以前、市の生活保護課にいたことがあるんですが、やはり保護の申請に来られるようなご家庭の状況というのは、それは大変なものでしたから。
 石井 現場をお知りの川瀬さんの言葉ですから、重みがありますね。
 川瀬 私が住んでいる地域では、若者の一人暮らしが多いみたいなんですが、非正規雇用の方も多いようなんですね。家賃の問題等考えると、かなり生活は苦しいのかなと思うんですが、当人たちはわりかし『こんなもんだろう』といった感じで、何というか自由に使えるお金を持つこと、余裕を持つことに、あまり執着していない感じなんですよね。
 石井 これからの日本のことを考えれば、グローバルのなかで生き残っていかなければならないのですから、少し頼りないといいますか、不安になりますよね。
 川瀬 最低賃金を提示されると、私なんかが若い頃には、その額を上げるために何くそと奮起したものですが、今の若い人たちは『これだけもらえればいいか』で終わってしまうようなんですよね。これじゃあ将来家庭を持ったときに、家族ともども苦しい状況に陥ってしまいます。私に言わせれば、正規・非正規雇用で生まれる格差というのは単なる賃金格差ではなく、運命格差なんですよね。
 石井 日本の将来のためにも、躾や学校教育、社会での苦労を通して自己を律する力、感情をコントロールする力を身につけてもらい、日本の若者たちがこれからもメイド・イン・ジャパンを支える世界トップクラスの人財として活躍してくれることを願ってやみません。

 お2人のお話は、ハングリー精神の発揮はもちろんだが、その精神を適切なかたちで社会で発揮できるようにするためにも、家庭内での躾を含めた人財教育がいかに重要なのかを、改めて感じさせるものであった。

(つづく)
【代 源太朗】

 

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