2024年04月20日( 土 )

2016年は電力新時代の幕開け(3)

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新規制基準に対応するための設備を導入する九電<

新規制基準に対応するための設備を導入する九電

 川内原発の再稼働は、新しい規制基準に適合させている。放射線を外に漏らさないための策を十重二十重に積み上げてある。しかし、それだけ安全のための策を積んでも安心には必ずしもつながらない。

 原発の解決しなくてはならない問題点は他にもある。それは放射性廃棄物の問題だ。ウランやプルトニウムの核燃料を分裂させて熱エネルギーを得る。核燃料は得られるエネルギーに対する使用する質量がいかに小さいとはいえ、無尽蔵に使用できるわけではない。使い終われば放射能をもった廃棄物が生まれる。この先行きが定まっていない。いわゆる、高レベル放射性廃棄物の処理処分の問題だ。

 使用済みの核燃料から、まだ使うことができるウランやプルトニウムを取り出し、その処理で液体になった使用済み核燃料をキャニスターと呼ばれる容器に移し、一般的にはガラスで固化する。この固められた廃棄物の中には半減期の長い、つまり何万年単位で放射線を発し続ける物質が混ざっているのである。この高いレベルの放射能をもった物質は扱いやすいように固められてはいるものの、その取扱いには慎重を要する危険物なのである。

 30年から50年の時間をかけて冷却(一時冷却・保管)されたキャニスターは、日本では地下300mより深い地層に数万年以上貯蔵するとしている(地層処分)。日本における一時冷却・保管は六ヶ所村高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターでなされることとなっている。

 理想と現実、とはこのことで、現段階では最終段階である地層処分の場所すら確定していない。その上、使用済み核燃料からウランやプルトニウムを取り出し、残りをガラス固化する再処理は国内では技術的なトラブル続きで実現できていない。処理が追いついていないため、九電では原子炉横の使用済み核燃料プールで冷却した後、敷地内で乾式貯蔵の方法を採用しようと動き始めた。15年11月のことである。

(つづく)
【柳 茂嘉】

 
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