2024年04月24日( 水 )

イオンが売上100億増を見込む新規事業とは?

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罰則規定も定めたフロン排出抑制法

super イオンの子会社イオンディライト(株)(本社:大阪市中央区、中山一平社長)が、100億円の売上増を見込む新規事業がある。それはフロン管理代行サービス。昨年4月1日に施行されたフロン排出抑制法を受けて、同社は、外部事業者への新規開拓を本格的に行うべく、有資格者の育成など人員体制づくりに注力している。

 フロン排出抑制法は、業務用冷凍空調機器について、3カ月に1回の簡易点検と、専門知識を有する者による定期点検の実施、および点検・修理、冷媒(フロン類)の充填・回収などの履歴を記録・保存することを義務付けたもの。また、フロン類の漏えいを発見した場合、漏えい防止措置や修理をしないまま、フロン類の充填をすることを原則禁止している。以上の内容などを実施しない場合、都道府県による勧告公表命令や50万円以下の罰金などの罰則規定を定めている。

 この法律でいう業務用冷凍空調機器とは、大規模のビルや工場のターボ冷凍機や、飲食店で使用されている業務用冷蔵庫、ビールサーバー、製氷機、パッケージエアコン、スーパーのショーケースなど。範囲は広く、事業規模に関係なく、ほとんどの事業者が対象となることがわかる。ところが、同法の内容に関する認知度はまだまだ低く、目視によるフロン類の漏えいの有無といった簡易点検すら行っていない事業者は珍しくない。

社員講習など新サービスも登場?

 福岡県の担当者によると、フロン排出抑制法に関する広報については、昨年に2回、ラジオで実施しただけという。法の周知、遵守を求める姿勢について、国や地方自治体の本気度が問われるところであるが、国際的に地球環境の保全が問題視されているなか、法律まで作っておいて、まさか放置というわけにはいかないだろう。また、フロン類はオゾン層を破壊する原因物質。法や罰則に関係なく、その管理に無頓着というわけにはいかない。

 いずれ同法の遵守について関心が高まることは想像に難くないが、今のところ、同法が求める点検や記録の代行サービスなど関連事業は、まさに未開拓の新市場。そのようななか、イオンディライトは2016年2月期第3四半期で、「第一種冷媒フロン類取扱技術者」の養成を推進した結果、同資格所有者が累計約500名になったことを発表した。新たな市場でシェアを伸ばす準備を着々と進めている。

 一方、福岡県の電気工事業者でも、「従業員の方に簡易点検や記録の仕方について講習するサービスを準備しています」((株)ハイバリュー・濱川一宏社長)と、参入に意欲を見せるところも。同社では、専門技術者としての定期点検のほか、自社の人員で簡易点検および記録を行うことでコストを抑えるための、中・小規模事業者向けサービスを行う予定。なお、「簡易点検の講習は2時間程度で済みます」(濱川社長)とのこと。
 今後、フロン排出抑制法をめぐり、さまざまなビジネスチャンスが生まれていくかもしれない。

【山下 康太】

<COMPANY INFORMATION>
(株)ハイバリュー(旧・船津電機(株))
所在地:福岡県柳川市新船津町43-2
設 立:2009年6月(創業1948年)
TEL:0944-73-2729
URL:http://aircon-next.com/

 

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