2024年04月20日( 土 )

検査を通じて地域社会へ貢献を

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(株)シー・アール・シー 代表取締役会長 江川 洋

押し寄せる状況変化の荒波

 

(株)シー・アール・シー 江川 洋 代表取締役会長<

(株)シー・アール・シー 江川 洋 代表取締役会長

(株)シー・アール・シーは、1967年10月に創業し今年49年目となる臨床検査受託を主に手がける総合健康サポーターとして、医・食・環境あらゆる方面で地域貢献を行っている。

 超高齢化社会の到来により、その需要は高まっているため、医療費の増加は商機とも言える。しかし、臨床検査業界が利益を伸ばしていけるかというと、一概にそうは言えない。なぜなら薬価、検査の診療報酬(保険点数)が国の主導で引き下げられているからだ。
 江川洋会長は、「増え続ける医療費に対して、保険料の多くを納める現役世代だけに負担がいかないよう、また医療の質が担保されるように診療報酬の見直しは慎重に進めていってほしいです」とエンドユーザーを気にかけるとともに、医療業界の今後を危惧する。

 同社は臨床検査業務以外にも食品取扱従事者の腸内細菌検査、食品検査、環境検査(水質、大気)、残留農薬一斉分析など、幅広い業務を行うことで経営基盤を固めている。これは、2年に一度、臨床検査の保険点数改定が行われることへの対応とも考えられる。かつて検査項目の『保険点数包括化』が実施された際、同社の売上高は激減し、厳しい状況を経験した。日本における医療現場環境は、今後ますます厳しくなることが予想されるため、『当時と同じ轍は踏まない』という思いが新たな業務の拡大につながってるのではないだろうか。

挑戦意欲とブレることのない根幹

 「我々の業界は、バブル崩壊後も病院という比較的安定した取引先と仕事をしてきたわけですから、知恵を絞ればまだまだ新たなサービスは生み出せるはずです」(江川会長)と、業容の拡大に積極的な姿勢を見せる。

 こうしたなか、競争に勝ち残るために夜間検査・迅速検査の実施を行う業者も少なくない。病院や企業側からすればありがたいサービスだが、検査センターにかかる負担は大きい。その負担を社員に押し付けるとなると次世代を担うべき若者たちが寄り付かなくなってしまう。そこで同社は制度の高い分析装置の導入はもちろん、検査工程の自動化やシステム化、地域検査室のパッケージ化に注力している。また、作業効率を向上させるため、検査用ロボットの製造を依頼。ある程度の作業をロボットが行い、細かい部分のチェックは人間が入念に行う。
 命に携わる業務だからこそ、負うべき責任も大きなものになる。根底に強い貢献意識がなければ、簡単に務まるものではない。そうした想いを若手につなぐため、また、人材確保のために、環境整備には余念がない。

 さまざまな業界環境の変化と、それにともなう問題に対応してきた同社。現在の新たな取り組みとしては、ノロウイルス検査、食物アレルゲン検査、室内空気環境測定、振動・騒音測定、ホルター心電図解析などがあり、そのそれぞれで地域社会に貢献している。

 「まもなく50周年を迎えます。大きな節目ですから、盛大に祝いたいと思いますが、やはり基本に忠実に『地域医療への貢献』を胸に、より一層精進していきたいと考えております。もちろん新しい試みとして、調剤分野の検討やグループの上場を視野に入れた経営の勉強会なども実施していきたいと考えております」(江川会長)。
 同社の強みは時代の流れに対応し、常に医者や顧客の『縁の下の力持ち』という基本姿勢を決して崩さないところにある。15年5月には佐賀にも緊急検査室を備えた新拠点が置かれた。同社に支えられる地域は着実に広がっている。

<COMPANY INFORMATION>
(株)シー・アール・シー
代表取締役会長:江川 洋
所在地:福岡市東区松島3-29-18
設 立:1969年7月
資本金:2,000万円
TEL:092-623-2111
URL:http://www.crc-group.co.jp/

<プロフィール>
egawa_pr江川 洋(えがわ ひろし)
1940年7月生まれ。唐津東高校卒。九州大学医学部附属衛生検査技士学校(現・九州大学医学部保険学科)を卒業後、67年にセントラル医学研究所(現(株)シー・アール・シー)を創業し、現在に至る。趣味はゴルフ、観劇、読書。

 

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