2024年03月29日( 金 )

落選運動2号!自民・松村参院議員、3,500万円寄付不記載~市民団体が告発

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money 自民党の松村祥史参院議員(熊本選挙区)が、2010年参院選の選挙資金で、自身が代表を務める政党支部から合計3,500万円の寄付を受けたと熊本県選挙管理委員会に届けていながら、政党支部の政治資金収支報告書に同寄付が1円も記載されていないことがわかった。市民団体が1月21日、熊本地検に政治資金規正法違反などの罪で刑事告発状を送付した。

 告発したのは、安保法賛成議員の落選を目的に結成された市民団体「安保関連法賛成議員の落選運動を支援する弁護士・研究者の会」(落選運動を支援する会)。呼びかけ人の上脇博之・神戸学院大教授ら12人が告発人に加わった。

 2010年参院選で松村氏の選挙議員の選挙運動に関する収支報告書には、政党支部(自由民主党熊本県参議院選挙区第1支部)から、1,000万円、500万円、2,000万円の3回に渡って合計3,500万円の寄付を受けたと記載されている。しかし政党支部の同年の政治資金収支報告書には、松村氏に寄付した記載がなく、収入約4,700万円に対し、人件費や事務所費などの経常経費約3,500万円など合計約4,000万円が支出されたことになっていて、当時、3,500万円を寄付できる残高がない。
 告発状は、選挙運動収支報告書の記載が事実ならば、政治資金収支報告書の不記載(政治資金規正法違反)だとしている。

 「落選運動を支援する会」の上脇博之・神戸学院大教授は「3,500万円もの大金が出所不明な資金によって調達されて、選挙運動を行ったことになり、選挙資金の透明性から見て悪質だと判断した」と指摘する。

 告発状では、3,500万円の出所不明の資金のほかに、政党支部が2010年~14年にかけて、会費名目で、東部地区ミニバレーボールや免田ライオンズクラブ事務局などに対し8件合計26万5,000円を支出したのは、選挙区内の者への寄付を禁じた公職選挙法などに違反する(一部は時効)として、刑事告発した。
 また、政党支部の政治資金収支報告書には、11年内に松村氏個人から240万円を借り入れたとの記載があるのが、12年には借入金が「無」となっているため、松村氏から全額返済か全額債務免除を受けたか、松村氏が政党支部に同額が寄付されたと考えるしかない。それにもかかわらず、返済などの記載がないとして、政治資金規正法違反(不記載)だとしている。

 松村氏の国会事務所はNetIB-Newsの取材に対し、「お答えできる者が不在」と述べ、回答期限まで回答がなかった。熊本事務所によれば、当時の会計責任者はすでに辞めている。

 松村氏は、2004年参院選で初当選し、現在2期目。経済産業相政務官を務めた。今年夏の参院選挙で改選を迎える。熊本選挙区(改選定数1)では、市民団体の要請を受けて野党共闘が実現し、民主、共産、維新、社民の各党が弁護士の阿部広美氏を無所属で擁立する。

 今回の告発は、安保法に賛成した国会議員の「落選運動」の第2号。「落選運動を支援する会」は、「立憲主義、民主主義に違反した議員はそれ自体で国会議員としても失格であると同時に今後の国政に関与することは有害」として、政治資金・選挙資金を調査し、違法が判明した議員を刑事告発する構えだ。

【山本 弘之】

 

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