2024年04月20日( 土 )

手かざし団体「セントマザー」 行政指導無視して暴走

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 患部に手をかざし、念じるだけで病気や痛みを和らげることのできる「ハンドパワー」を取得できるとして巨額のセミナー代を集め、脱税で摘発された「アースハート」の後継団体「一般社団法人セントマザー」が、暴走をはじめた。

市の指導を無視し『有志会』を強行開催

 セントマザーは先月9日、同団体の会員のなかで、ハンドパワーを持つ人だけが加入できるという「つくしの会」の催しである『有志会』を開催。会場となった建物がある場所が市街化調整区域のなかにあり、本来「老人ホーム」と「医療施設」としての使用しか認められていなかったことから、福岡市の所管課が違法な施設利用だとして行政指導を行っていた。この時の顛末については、NetIBの記者が現地取材を行い、詳細を報じている(記事:手かざしアースハートの後継団体「セントマザー」 建物の違法使用で市が指導)。

 ところが今月13日、市の指導に従うとしていたはずのセントマザーが、再び『有志会』を強行開催。前回同様、多数の会員がバスやタクシーで現地入りし(写真参照)、会員の体験発表やアースハート元代表の女性による講話が行われたという。当日、セントマザー側はNetIBの取材を拒否している。

 有志会の会場となった建物があるのは市街化調整区域のなか。施設建設にあたっては、都市計画法の適用を受け、福祉施設であるにせよ医療施設であるにせよ、市の特別な許可が必要。セントマザーが本拠にしている建物は、「老人ホーム」「医療施設」の目的でしか利用することができない。

 セントマザーは2014年の設立以後、アースハートの事業を譲渡額3億円で引き継ぎ、金銭のやり取りが絡む「セミナー」や「有志会」で建物を使用。都市計画法および建築基準法に抵触する行為だとして、違法使用を止めるよう市住宅都市局建築指導部監察指導課から再三の指導を受けていた。

 先月の有志会開催を受けて、福岡市はセントマザー側に対して指導を行ったとしていたが、完全に無視された形。確信犯であることは言うまでもなく、法を無視した手かざし団体の暴走に、市はより厳しい姿勢で臨むものと見られる。

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前身団体には有罪判決や損害賠償訴訟が

 セントマザーの前身である「アースハート」を巡っては、2013年1月、アースハートの元社長で実質的な指導者とされる野中邦子氏ら3人が、法人税法違反(脱税)で福岡地検特別刑事部に逮捕・起訴され有罪判決を受けているほか、2011年には、同社に会費を騙し取られたとする元会員らを救済するため結成された被害対策弁護団の尽力によって損害賠償訴訟が提起され、最高裁まで争われた第一陣訴訟は原告側勝訴。第二陣訴訟もアースハート側が原告側の主張を受け入れる形で和解が成立し、第一陣分と合わせ総額約2億7,500万円余りが被害者側に支払われている。

 

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