2024年03月29日( 金 )

安倍政治を終わらせるための大同団結・連帯

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、小選挙制度の一長一短をふまえたうえで「現在の選挙制度の下で、安倍政治の横暴を許さないための方策を考えなければならない」などとした3月1日付の記事を紹介する。


 日本国憲法の三大原理は平和主義、基本的人権の尊重、国民主権である。平和と人権を守るため、国民主権という政治の仕組みを用いることを定めた。これが日本国憲法である。そして憲法は、権力者が勝手に破壊せぬよう、高い砦を築いている。権力者であっても憲法の前には従順でなければならぬ。権力者の行動を縛るために憲法が定められている。これが「立憲主義」と呼ばれる考え方である。

 その憲法が安倍政権の暴走、横暴によって危機に直面している。この暴政を取り払うことが、日本の民主主義にとって最重要、最優先の課題である。国民主権の考え方は、権力を創出するに際して、主権者が主役であるとの考え方だ。主権者が選挙で国会議員を選ぶ。そして、選出された国会議員のなかから内閣総理大臣が選出され、内閣を組織する。この内閣が行政権を有することになる。主権者の意思によって内閣が創設されることが重要なのだ。

 しかし、選挙の制度によっては、主権者の意思が正しく反映されないことも生じる。現在の衆議院議員総選挙においては、295人が小選挙区で選出され、180人が比例代表選挙で選出される。このうち、295人を選出する小選挙区では、1位の得票を得た者だけが当選し、それ以外の候補者は落選する。2位以下の候補者への投票は「死票」になってしまう。民意の分布の状況と選出される議席数の分布の状況に大きなズレが生じる。これが小選挙区制の最大の短所である。

 民意の分布と議席配分の分布を一致させようとするなら、全議席を比例代表で選べばよいということになる。事実、そのように選挙制度を改変するべきだとの意見は存在する。これに対して、小選挙区制度を用いると、政権交代が生じやすいとの反論がある。二大政党体制が確立されている国では、小選挙区制を活用することによって、比較的頻繁に政権交代を実現させているケースがある。これが小選挙区制の長所であるとされる。

 一長一短があるのが現実である。2014年12月14日の総選挙では、自公の与党が獲得した得票は、全有権者の24.7%であったのに対し、自公以外の政党が獲得した得票は全有権者の28.0%だった(比例代表)。しかし、議席配分は、自公が68.4%、自公以外が31.6%だった。得票率と議席占有率に著しい相違が生じた。

 安倍政権は議会の多数議席を背景に横暴な政治運営を進めているが、厚い国民支持に支えられているわけではない。全有権者の4分の1の支持しか得ていないのに、衆議院の7割の議席を占有して、この数の力にモノを言わせて、暴走しているというが実態である。自民党単独では、全有権者の17.4%の支持しか得ていない。主権者全体の6人に1人しか自民に投票した者はいないのだ。

 この現実をしっかりと見据えて、これからの政治を考えなければならない。何よりも重要なことは、いまの安倍政治ではダメだと考える主権者が、選挙に際して、統一行動を取ることだ。選挙制度が悪いと叫んでみても、選挙制度がすぐに変わるわけではない。現在の選挙制度の下で、安倍政治の横暴を許さないための方策を考えなければならないのだ。それは、政策を軸に、主権者が支持する候補者を、各選挙区で一本化することである。

 これを実現する上で、最大の鍵を握るのは共産党である。その共産党が、主権者の大同団結に大いに歩み寄っている。この機会を生かさずに、現在の政治状況を変えることはできない。

※続きは3月1日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1377号「安倍政治をストップさせるために市民が連帯する」で。


▼関連リンク
・植草一秀の『知られざる真実』

 

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