2024年04月19日( 金 )

売上高120億円突破を見込む「HOTEL AZ」戦略(後)

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 (株)アメイズ

店舗展開を支える大和ハウスとの協力関係

HOTEL AZ<

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 2月末現在、「HOTEL AZ」は、軒数が多い順に、福岡県22店舗、熊本県11店舗、宮崎県8店舗、鹿児島県5店舗、長崎県5店舗、大分県4店舗、佐賀県4店舗。九州内に計59店舗。このほか山口県4店舗、三重県、愛知県、長野県、山梨県、愛媛県にそれぞれ1店舗ずつ、合計68店舗が営業中である。九州・山口に集中的に出店するドミナント戦略をとり、「HOTEL AZ」ブランドの推進を図っている。周囲に高層の建物がない郊外にポツンと建つ「HOTEL AZ」の建物は、それ自体が広告塔とも言える。利用したことがなくても、「シングル4,800円(朝食付)」などと書かれた建物を記憶している読者諸兄は多いことだろう。

 「当社がホテル店舗を展開する郊外においては国内にはまだ手つかずの市場が残されている」(保雄氏)として、毎年10店舗を超えるペースで積極的に出店を続けている背景には、大和ハウス工業(株)との協力関係がある。現在の店舗展開は、土地・建物を賃借する方法で行っており、大和ハウス工業から貸主となる土地所有者の紹介を受け、25年の定期土地建物賃貸借契約を締結。その後、土地所有者が大和ハウス工業を施工業者として「HOTEL AZ」の建設を行い、附属設備などは同社が所有。完成した「HOTEL AZ」は同社が運営し、土地所有者が賃料収入を得るスキームである。

 財務状況を見ると、大和ハウス工業と連携した賃貸借方式でなければ積極的な店舗展開を推し進めることができないことがわかる。15年11月期における固定資産長期適合率は127.3%と許容範囲をオーバー。固定比率にいたっては373.0%と長期資本を遥かに超えた投資が行われていることがわかる。また、流動比率は17.9%であり、資金繰りにも不安が残る。一方で、自己資本利益率(ROE)は12.5%と良く、総資産利益率(ROA)では3.2%とまずまずの数値を出している。保雄氏が生み出した「郊外型ロードサイドビジネスホテルチェーン」という“勝利の方程式”に絶対的な自信がある同社としては、ほぼ独壇場と言える今のうちに店舗数を増やしていきたいところだろう

 保雄氏がホテル経営に乗り出してからわずか12年で、70近くの店舗数となった「HOTEL AZ」。その好調ぶりは業績にも表れている。15年11月期は売上高109億800万円(前期比2.2%増)、営業利益16億7,900万円(同比33.8%増)、経常利益13億5,000万円(同比35.2%増)の増収増益となった。最終利益こそ前期比54.1%減の8億800万円となっているが、これは前期(14年11月期)に「亀の井ホテル別府店」(現・別府亀の井ホテル)の固定資産売却益22億4,000万円が特別利益に計上されたため。
 敏腕を振るってきた保雄氏は今年で82歳。退任は自然な流れと思えるが、「アメイズ」の実質的な創業者の引退は、すでに戦略が軌道に乗ったことの表れとの印象も受ける。

(了)
【山下 康太】

<COMPANY INFORMATION>
(株)アメイズ
代 表:穴見 賢一、児玉 幸子
所在地:大分市西鶴崎1-7-17
設 立:1924年11月(創業1911年)
資本金:12億9,998万円
売上高:(15/11)109億800万円

 
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