2024年04月19日( 金 )

教育に求められる国際的判断基準

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(株)SCホールディングス 代表取締役社長 吉田 知明

学校教育を補完するのが学習塾の役目

(株)SCホールディングス 吉田 知明 代表取締役社長<

(株)SCホールディングス 吉田 知明 代表取締役社長

 株式公開を目指す(株)SCホールディングスの吉田知明社長。現在、グループ会社全体で安定した収益を上げているが、これ以上の業態拡大は考えず、個別指導塾に絞って水平展開戦略を行っていく計画だ。現在、個別指導塾の需要は高く、これに特化し積極的に出店していくという戦略は間違っていなかったという確信も得た。インターネット家庭教師「スタネット」にも力を入れ、手堅く増益を図っていく予定だ。

 吉田社長は「教育の中心は学校法人にある。学習塾はその補完的役割」と、自社の社会的使命を冷静に捉える。また、日本社会について、「海外に出てみるとわかるのですが、大富豪やスラム居住者などの貧困層がいる他国に比べれば、日本の富裕層や貧困層と中間層との差はそこまで大きくありません。しかも中間層の割合が大きい。世界的に見てもかなり特徴的です」と分析する。日本は教育水準も高い。それは識字率を見れば明らかだ。各層の垣根を超えるのも、そう難しい問題ではない。だからこそ中間層から落ちこぼれてしまった子どもたちを押し上げることが、同社の役目と考えている。

適正な格差は健全な競争力を高める

 「格差というものは必ず生じます。大切なのはバランスを取ることです」と吉田社長。ある程度差が生じるのは致し方なく、それをバネに伸びていこうとする厳しさが必要ということだ。とはいえ、締め付けが厳しすぎると自由な競争が生じない。それは政治や経済についても同じことで、格差を広げないために規制緩和に反対するという世論には首を傾げる。格差という言葉も、日本と世界とでは、判断基準に違いが生じる。日本人としての感覚と、国際人としての感覚を併せ持つことが必要な時代だ。「日本も国際評価で判断する力が求められています。若い人たちはマスコミに影響を受け過ぎ。もっと自分で正しい社会構造を判断できる力をつけないといけない」と、若者には考える力を高めることを求めている。日本はゆとり教育の時期があり、今その教育を受けた子どもたちが成長して社会人となっている。その一方で、高学歴を求める風潮、求めすぎた結果、受験を極度なストレスと見る風潮もある。吉田社長は「自分は受験で成長させてもらいましたから、受験社会を悪いことだとは思っていません」という。むしろ、「受験を適正なストレス、自分を成長させるものとして生かしてほしい」と望んでいる。

アメリカの「落ちこぼれ防止法」に着目

 世界で一番の学習塾企業となるべく、着々と前進する同社。株式上場した暁にはさらには大きな目標に向かう。「落ちこぼれ防止法」があるアメリカで腕を振るってみたいのだそうだ。同法はアメリカのすべての生徒、なかでも最低レベルの学習達成度に甘んじてきた生徒たちのレベルを高めることを意図し、同国の教育システムの改革に大きな影響を与えてきた。日本からはすでに大手同業者が進出し前例を示している。これをいずれ超えることを目標として後を追いたい。「昔に比べると、大手企業のグローバル化は進んでいます。企業の成長は地域を大切にして縦に掘り下げていくか、全世界を視野に入れて横に広がっていくか―。私たちはウォルマートやユニクロのような後者の展開を目指します」と吉田社長。アメリカで実績を上げた後は、中国やインドにも狙いを定める。「これら大国で事業計画を達成できれば、世界一も夢ではないでしょう」と思いを馳せている。

※記事内容は2015年8月31日時点のもの

<COMPANY INFORMATION>
(株)SCホールディングス
代 表:吉田 知明
所在地:福岡市博多区店屋町8-17 MSTビル7F
設 立:2011年11月
資本金:5,000万円
TEL:092-283-1188
URL:http://sc-holdings.co.jp/

<プロフィール>
yosida1_s吉田 知明(よしだ ともあき)
1972年鳥取県生まれ。2001年、スタンダードカンパニー(現・(株)個別指導塾スタンダード)を創業し、家庭教師派遣事業を開始。11年に(株)SCホールディングスを設立し、代表取締役社長に就任。「敬天愛人」を企業理念に掲げ、同グループを率いる。

 

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