2024年04月19日( 金 )

安保法廃止求め集会とパレード~柳沢協二氏が講演、3野党が勢ぞろい

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
安保法廃止を求めるパレードの先頭を歩く斎藤県弁護士会会長(右端)と野党3党の国会議員ら=3月19日、福岡市<

安保法廃止を求めるパレードの先頭を歩く斎藤県弁護士会会長(右端)と野党3党の国会議員ら=3月19日、福岡市

 安保法の成立から半年となった3月19日、福岡市で、安保法廃止を求めたパレードと市民集会が福岡県弁護士会の主催で開催された。市民集会では、小泉内閣、第一次安倍内閣などで安全保障・危機管理を担当した柳沢協二・元内閣官房副長官補が「安保法制とどう向き合うか」と題して講演し、「どういう国家像を求めるのか、主権者国民が問われている」と問いかけた。

 パレードには、当初予定の200人を大きく上回る約700人が参加し、弁護士や市民、労働組合員らが「リメンバー9・19、採決強行を忘れない」「民主主義を守れ、安保法ただちに廃止」などと訴えながら、天神周辺をデモ行進した。
 民主党、共産党、社民党の参院議員・候補や前衆院議員、地方議員らも参加。斉藤芳朗県弁護士会会長とともに、共産党の仁比聡平参院議員、民主党の山本剛正元衆院議員、社民党の竹内信昭県連副代表がパレードの先頭を歩いた。民主党からは、山内康一前衆院議員、藤田一枝元衆院議員、原竹岩海県議会副議長、川﨑俊丸県議・県連幹事長らも参加した。

 講演した柳沢氏は、安保法によって、平時から切れ目なく米艦を防護するなど、戦闘のリスクやテロの標的になるリスクが高まったと指摘し、「戦争するには、戦争に行って戦う『英霊』が必要だ」として、「『行くのは自衛隊員』なのか、(国民が)自分に回ってきたとき、そこまでしても戦争していいと考えるのか」と問いかけた。
 イラクへの自衛隊派遣で「私が(自衛隊員の)戦死をもっとも意識した」と柳沢氏が振り返ったのは、自衛隊宿営地へのロケット弾着弾や群集に囲まれた危機的な局面だった。「もし1発撃てば、殺し殺される事態になった。殺せば、人間が壊れるのが、戦場のリアルだ。これまでは、こちらが殺される心配だけだったが、これからは撃ったことを想定しないといけない」と指摘。災害派遣や専守防衛の任務で国民に支持されている自衛隊に「海外で武力行使する任務を国民が負託できるのか考えてほしい」と語った。
 柳沢氏は、「無駄な戦争はしてはいけない。必要な戦争はあるのか。自衛戦争でも、戦争に至る前に外交が努力すべきで、(外交努力が)失敗したから戦争になるので、それも、無駄な戦争だ」と述べ、戦争は「時の首相の意思」で勝手に行われるものではないと強調。「戦争を、安倍さんの手から市民の手に取り戻すことが大切だ」「与党の暴走を止めるのは参議院選挙だ」と訴えた。
 また、中国脅威論について、「一人っ子政策の中国が戦争で戦死者を出したら、親たちが黙っていない。中国の政権がもたない」として、中国は政権崩壊するのがわかっていて、日本や米国と戦争することはないと解説。南沙諸島での中国の基地拡張に同意できないが、即戦争に向かうものではないと話した。

学者、市民が闘う決意「言論の自由の崩壊過程、今、教訓に」

 集会では、民主党の野田国義参院議員、共産党の仁比聡平参院議員が挨拶(社民党は、国会議員の日程の都合が付かなかったため挨拶を辞退)したのをはじめ、石村善治・福岡大名誉教授、斎藤文男・九州大名誉教授、安保法案に反対するママの会の宮下彩代表、大学生らでつくるFYM(フクオカ・ユース・ムーブメント)の後藤宏基代表が発言した。
 石村善治氏は、ドイツのワイマール憲法のもとでのナチスの政権掌握には、言論の自由の崩壊過程があったと、自身の約50年前の研究を紹介し、「我々の教訓、今参考とすべきことだ」と指摘。石村氏は終戦を18歳で迎え、同級生先輩らが戦死した。「戦争を語れる最後の世代として、最後まで戦争に絶対反対し、平和でなければいけないと訴えていく」と語った。
 斎藤文男氏は、「立憲主義とは憲法を守ること。憲法をぶっ壊すことは立憲主義か。憲法改悪の企みをなんとしても阻止しないといけない」と呼びかけた。
 宮下彩さんは、2歳と6歳の母親。「殺し殺されるかもしれないというリアルの中で、殺される1人に、自分の子どもも、自衛隊員も、なってはいけない。シリアなどで爆弾の恐怖で暮らしている。普通のお母さんが全世界で子どもたちと普通に暮らし、家で安心して眠ることができるように願っている。安保法はだれも幸せにしない」と訴えた。
 後藤宏基さんは、「野党は共闘してください。ここ(参院選挙)で負けたら憲法が改正されるかもしれない。誰かに任せる社会じゃもうダメなんです。安倍政権の暴走とたたかい、立憲主義の回復のために後藤は闘います」と決意を述べた。

講演する柳沢協二氏<

講演する柳沢協二氏

柳沢協二氏の講演を聞く市民で満員の市民集会会場=3月19日、福岡市<

柳沢協二氏の講演を聞く市民で満員の市民集会会場=3月19日、福岡市

【山本 弘之】

 

関連記事