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業務停止処分を受けた中央青山監査法人(後) ~合併に次ぐ合併で巨大化した落とし穴~
 

業務停止処分を受けた中央青山監査法人(後)
~クライアントの受け皿を狙う外資系の新法人~



 

  金融庁が、カネボウの粉飾決算に加担した中央青山監査法人に対して2ヶ月の業務停止処分を決定したことを受けて、中央青山と提携する米国の大手会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は日本での新監査法人を設立すると発表した。

  今回の処分により、中央青山と契約を結んでいる企業約2,300社は、7月1日付けで自動解約になり、業務停止期間の7、8月には、一時監査人を選定する必要に迫られる。

  中央青山から移る企業の受け皿として設立するのが、PwCの新監査法人だ。業務停止で宙に浮く中央青山の監査先の相当数が、新法人にくら替えする可能性がある。4大監査法人の一角を占める中央青山は分裂の危機に立たされたのである。

■ 外資系監査法人

  PwCが日本に進出するのは、今回が初めてではない。中央青山は2000年に中央と青山両監査法人が合併して発足したが、旧青山はPwC直系の監査法人で、青山監査法人プライスウォーターハウスというのが正式な法人名だった。

  中央が外資系の青山と合併したのは、提携先の米国の会計事務所のクーパース・アンド・ライブランドが1998年にプライスウォーターハウスと合併したからだ。

  米国における会計事務所の歴史は、合併と買収の歴史である。ビック8と呼ばれた会計事務所は合従連衡を繰り返し、ビック4に集約された。

  米国の企業社会を揺るがしたエネルギー大手・エンロン(01年に破綻)の不正会計事件では、エンロンの粉飾に加担していた名門会計事務所、アーサー・アンダーセンが消滅した。

  アンダーセンは、エンロンに対して会計監査とコンサルティング業務を提供するという、火付けと火消しの一人二役。年間30億円の監査費用と40億円のコンサルタント料の合計70億円をアンダーセンは受け取っていた。以後、マッチポンプを防ぐために、会計事務所は監査企業へのコンサルティングを禁止する規制が強化された。

  アンダーセン事件の結果、米国の会計事務所はビック4に集約されたのである。

  ビック4のなかで最も長い歴史をもつのがPwCだ。1890年に開所したプライスウォーターハウスが前身。1998年にクーパース・アンド・ライブランド(C&L)と合併して発足したのがプライスウォーターハウスクーパース(PwC)だ。

  C&Lの提携先だったのが中央監査法人。米会計事務所の合併に連動して、中央と青山の両監査法人が合併したのである。

  日本の会計事務所も合併の歴史だった。合併を繰り返して、4大監査法人に集約された。それぞれが米国のビック4と提携している。

  トーマツはデトロイト・トウシュ・トーマツ(DTT)、新日本はアーンスト・アンド・ヤング(E&Y)、あずさ(旧朝日)がKPMG、そして中央青山がPwCだ。旧朝日は、アーサー・アンダーセンと提携していたが、エンロン事件で提携を解消。KPMGとの提携に切り替えた。

  日本の4大監査法人と米国のビック4が提携関係があるなかで、中央青山が業務停止処分に。これを受けて、PwCが新監査法人を設立。提携という間接的の方法ではなく、日本法人を設立して進出するのである。

  PwCの新監査法人が業界地図を大きく塗り替えることになる。

■ 焦点はトヨタ自動車

  中央青山は、中央会計事務所を母体とする監査法人で、00年に青山と合併、01年に伊東会計事務所を吸収合併したことは、前に述べた。

  だが、カネボウなど旧中央が抱える企業が粉飾決算事件を起こしたことに、旧青山や旧伊東の公認会計士やクライアント企業は不満を募らせていた。会計監査が中央青山というだけで、企業と会計士がなれ合っていると見なされるようになったからだ。

  こうした伏線があるため、PwCが新法人を設立するのは、直系の旧青山の会計士とクライアントの不満を代弁した動きと受け取られた。旧青山のクライアントは外資系や輸出型企業が多く、大半が新法人にくら替えするとみられているのである。

  中央青山のクライアントのなかで、その去就が最も注目されているのがトヨタ自動車である。「世界のトヨタ」の監査を担当していることが、中央青山の金看板になっていたからだ。

  永年、トヨタの監査を担当していたのは伊東会計事務所である。東海地区を拠点として、トヨタのほか、中部電力、東邦ガスなどの優良クライアントを擁し、地域監査法人として異色な存在だった。

  だが、地域監査法人では限界があり、会計事務所の巨大化が進むなかで、中央青山に吸収されたが、それにはトヨタの意向が働いたといわれた。

「ニューヨーク証券取引所(NYSE)とロンドン証券取引所に上場しているトヨタのネックは、監査担当が名古屋の地域監査法人だったこと。海外の投資家は伊東会計事務所の名前なんか知らない。国際的に業務を展開している以上、世界的会計事務所の監査を受ける必要がある。

そこで、ビック4のなかで最も巨大なPwCとの提携関係を持つことを重視して中央青山との合併を後押しした」
(監査法人の業界に詳しい金融関係者)
  とされる。

  NYSEに上場しているトヨタが必要としているのは、中央青山ではなく、PwCの「お墨付き」だ。トヨタは監査法人の変更について言及していないが、別の大手監査法人に乗り換えるよりも、PwCの新監査法人に移る可能性は大きい。国際的会計事務所の直系の監査法人であるからだ。

  監査法人の選任は株主総会の議案だ。6月末に開かれる3月期決算企業の株主総会では、監査法人を中央青山から変更する企業が続出するのは避けられない。

  中央青山の奥山章雄理事長は、再生をアピールするため名称を変更する計画だという。合併を繰り返すなかで、常に主導権を握ってきたのが奥山氏ら旧中央会計事務所の出身者たち。将来は「中央監査法人」へ名称を回帰することを考えていた。

  だが、旧中央のクライアントであったカネボウの粉飾に加担して、その野望は潰えた。創業者と後継者たちが守り続けてきた「中央」の看板が消えるのは間違いない。




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