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監査法人が経営継続に疑義をつけた上場企業 08年3月期決算は過去最多の108社 | 東京レポート
特別取材
2008年7月25日 15:00

 経営の継続性について重大なリスクがあると開示した「危ない会社」が100社を超えた。2008年3月期(および08年9月中間期)の決算書に、企業が存続できるかどうか(ゴーイング・コンサーン=継続企業の前提)に関するリスク情報を記載した上場企業(東京証券取引所、大阪証券取引所、ジャスダック証券取引所)は、07年3月期に比べ31社増え108社になった。開示制度が始まった03年3月期以降で最高を記録した。

新興市場が急増

 東京証券取引所の調べによると、東証に上場している08年3月期(および9月中間期)決算の企業のうち、監査意見の追加情報に「ゴーイング・コンサーン(GC)に関する注記」がある企業は、1部18社、2部18社、マザーズ13社の合計49社。07年3月期の37社に比べ12社増えた。

 大阪証券取引所では、東証と重複上場している企業(9社)を除くと、07年3月期の18社より6社増え24社。ジャスダック取引所では、07年3月期の22社より13社増え35社。

 その結果、3取引所合わせて108社、07年3月の77社より31社増えた。新興企業や公共事業の減少に直面する建設業などを中心に増えており、減速を強める景気の現状を反映したといえる。

 リスク開示企業の大幅な増加は、監査法人が監査を厳格化していることが背景にある。なかでも東証マザーズ、大証ヘラクレスの新興企業市場で急増したのが大きな特徴だ。

 東証マザーズが13社、大証ヘラクレスが11社、うち17社が情報通信関連のIT企業だ。これは両新興市場に上場している3月決算企業の12%を占める。新興市場を除いた東証と大証の1、2部、ジャスダックでGCがついた企業の割合は3%強。新興企業は、その4倍の発生率となる。新興企業の底の浅さが表れた格好だ。

飛島建設、ぴあにGC

 監査法人が目を付けたのは、「営業損失」や「赤字」の拡大だ。公共事業の減少や原材料価格の高騰に苦しむ建設業では、11社がリスク情報を開示した。中堅ゼネコンの飛島建設は、海外・国内とも不採算工事が発生して、08年3月期には108億円の最終赤字を計上。7期連続で当期損失を計上したため、5期ぶりに注記がついた。

 日本での販売権を持つ英スピード社製水着で、一躍脚光を浴びたコールドウインは、2期連続の営業損失。秋葉原の家電量販店のラオックスは、減収に歯止めがかからず連続赤字。洋菓子の不二家も赤字だ。原材料価格の高騰も影を落とす。ローマイヤと相模ハムは食肉価格の高騰、北日本紡績は素材価格の高騰などから営業赤字に陥った。

 銀行が融資の際の条件としている「財務制限条項」もGCの要因になる。

 ぴあは純資産の金額が75%下回り、制限事項に抵触した。チケット販売というニュービジネスの旗手だったが、紙媒体からネット媒体というビジネスモデルの転換に立ち遅れたのが響いた。プレハブ住宅中堅のエス・バイ・エルや焼肉チェーン大手の安楽亭は、借入金の制限事項に抵触してGCの注記がついた。

 すでに倒産企業が出た。暴力団関係に地上げを依頼したことが発覚して金融機関からの融資がストップしたため、監査法人が異例の意見不表明した不動産開発のスルガコーポレーション、営業損失の計上を注記した中堅ゼネコンの真柄建設、子会社の近藤産業が破産したマンション分譲のゼファー、この3社は民事再生法の適用申請に追い込まれた。

 子会社の倒産もある。ジェイオーグループホールディングス傘下のジェイオー建設が倒産。創薬ベンチャーのLTTバイオファーマは、子会社アスクレピオスが巨額詐欺の舞台となり破産した。

 昨年倒産した上場企業は6社だったが、今年は昨年の件数を上回る。今期は景気の悪化から、経営の継続性について重大なリスクがあると開示される企業が、さらに増加するのは確実だ。

【ゴーイング・コンサーン】

 ゴーイング・コンサーン(GC、継続企業の前提)は、監査人が監査先の企業が存続するかどうかについて意見を表明するリスク開示制度。監査人の求めで、経営者は自社が1年以内に破たんするリスクが極めて高いと判断したら、破たんリスクとそれへの対応策を決算書に明記しなければならない。03年3月期から開示が義務づけられた。投資家にとっては、監査人が認めた「危ない会社」、いわば「イエローカード」をつきつけられた会社という意味合いがある。

〈GCを開示した企業〉(括弧内は証券コード・所属、東京証券取引所・大阪証券取引所・ジャスダック証券取引所調べ)

【東京証券取引所】

省電舎(1711・M)  ビーアールホールディングス(1726・2部)
飛島建設(1805・1部)  真柄建設(1839・1部、倒産)
エス・バイ・エル(1919・1部)  不二家(2211・1部)
アイ・ビー・イーホールディングス(2347・M) シーフォーテクノロジー(2355・M)
TCBテクノロジー(2356・M)  ジェネシス・テクノロジー(2473・2部)
ローマイヤ(2893・2部)  Oakキャピタル(3113・2部)
北日本紡績(3409・2部)  デュオシステムズ(3742・M)
GDH(3755・M)  ネクステック(3767・M)
アドバンスト・メディア(3773・M)  紀州製紙(3882・1部)
ぴあ(4337・1部)  そーせいグループ(4565・M )
LTTバイオファーマ(4566・M)  アドバックス(4749・M)
ジャパン・デジタル・コンテンツ信託(4815・M)  昭和ゴム(5103・2部)
日本橋梁(5912・1部)  松尾橋梁(5913・1部)
エンシュウ(6218・1部)  シルバー精工(6453・1部)
エネサーブ(6519・1部)  東和メックス(6775・2部)
パルステック工業(6894・2部)  森電機(6993・2部)
グローバルアクト(7428・2部)  安楽亭(7562・2部)
ソリッド グループ ホールディングス(7602・2部)
ユニオンホールディングス(7736・2部)  ネポン(7985・2部)
ゴールドウィン(8111・1部)  ラオックス(8202・2部)
理経(8226・2部)  東日カーライフグループ(8291・1部)
ロプロ(8577・1部)  小林洋行(8742・1部)
ゼファー(8882・1部、倒産)  ベリテ(9904・2部)
ネクシィーズ(4346・1部)  ピクセラ(6731・1部)
YAMATO(7853・M)  
意見不表明:スルガコーポレーション(1880・ 2部、倒産)
(注:Mはマザーズ)

【大阪証券取引所】
ジェイオーグループホールディングス(1710・2部)
東邦グローバルアソシエイツ(1757・2部)  富士ピーエス(1848・2部)
シンワオックス(2654・2部)  フォーバルクリエーティブ(2724・H)
ミホウジャパン(2880・H)  イーネット・ジャパン(3334・H)
オリカキャピタル(3570・2部)  オープンインタフェース(4302・H)
ビーマップ(4316・H)  ラ・パルレ(4357・H)
ガーラ(4777・H)  イトーヨーギョー(5287・2部)
日本科学冶金(5995・2部)  光陽社(7946・2部)
キムラタン(8107・1部)  インター(8493・2部)
トラステックスホールディングス(9374・2部)  ナカイ(9864・2部)
平和奥田(1790・2部)  オックスホールディングス(2350・H)
ウェッジホールディングス(2388・H)  
ジャパン・フード&リカー・アライアンス(2538・2部)  オープンループ(4831・H)
(注:東証との重複上場分は除く Hはヘラクレス)

【ジャスダック証券取引所】    
松本建工(1779) 旭ホームズ(1913)
相模ハム(2289)  LEOC(2366) 
日本ERI(2419)   オートウェーブ(2666)
石垣食品(2901) ジェイ・エスコムホールディングス(3779)
ジャストシステム(4686) NFKホールディングス(6494)
カシオマイクロニクス(6760) クオンツ(6811)
ジャルコ(6812)  オメガプロジェクト・ホールディングス(6819)
アイレックス(6944) 創健社(7413)
ダイヤ通商(7462)  ムラキ(7477)
五洋インテックス(7519)  ヤマノホールディングス(7571)
ビジョンメガネ(7642) 岡本硝子(7746)
ホロン(7748)   日本精密(7771)
アプレック(8489) 岡藤ホールディングス(8705)  
セイクレスト(8900) フリード(9423)
トランスデジタル(9712)   バーテックス リンク(9816)
サハダイヤモンド(9898) 大電社(9907)
すみや(9939)  ディーワンダーランド(9611)
クロニクル(9822)
         


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