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小倉記念病院に暗雲 延吉院長退任"花道"が迷走(20)~「クビだ」は彼にとって標準語
特別取材
2012年9月18日 11:09

kokura_byoin.jpg "神の手"を持つ天才ドクター、延吉正清氏が、ワンマンへの批判のうっ積、向精神薬不正取得の疑いを理由に、小倉記念病院理事長・院長の辞任要求を突きつけられた経過を見てきた。勇退の花道を準備しようとした周囲の労を蹴飛ばして、後継指名にしがみついた。延吉氏も72歳。築いた地位と名誉に恋々とする姿は、もはや"老害"とも言える。一方、自らは病院のスタッフに、すぐ「クビだ」と怒鳴り散らしていたとの証言が得られた。

<延吉氏にとって「クビ」は標準語>
 「立場上、先生の近くにいることが多く、私の体重は10キログラムも落ちてしまいました。ストレスが原因です」と、ある男性が話してくれた。この男性は、長年にわたって小倉記念病院で勤務してきたが、その間に少なくとも20回は延吉氏から直接「クビだ!」と怒鳴られたという。その後に付くセリフは、「退職金もやらん!」だった。

 「事務方の部長クラスで4~5人くらいは、病院を去っていったのではないでしょうか。もちろん、ドクターにも平気で"クビだ!"と怒鳴って、実際に去っていった先生はたくさんいると思います」。ただ、ドクターは事務方と違って、大学病院に戻ったり、自ら開業したりするので、実態は見えにくいというのだという。

 こうして、ワンマン・独断専行への職員たちからの批判を押さえつけてきたわけである。

<コロッと態度を変える>
 延吉氏の人物像を語るうえで、"ワンマン"以外によく登場するのが"コロっと態度や意見を変える"ということだ。

 この男性も同じく証言する。朝のうちに「クビだ!」と激昂され怒鳴られても、夕方には延吉氏から電話が掛かってくる。「その時の電話では、もうクビの話は一切なし。内容は、○○の件をよろしく頼むな。とか、仕事の依頼が主です。こうしてクビ話が、出ては消えを繰り返していました」。

 結局、この男性も病院を去ることになった。周囲は引きとめ、長期休暇を取ってひとまず休むことなどを提案したが、もう耐えられなかったそうだ。
 「私は、周囲から見て、かなり危なく見えたようです。たしかに精神的にかなりまいっていましたから」と、当時を振り返る。

 また、ある病院関係者は、「二言目にはクビ、それは理事に対しても同じだった」と証言する。もちろん、理事長とはいえ、理事会の承認なしに理事を解任することはできない。
 しかし、「"クビ"が標準語」である延吉氏を、副院長や部長らが恐れ始めたという。延吉氏のワンマン体制と、独裁主義は形成され、「クビだ!」の怒号が響く小倉記念病院は、まるで「延吉王国」とでも言うのがふさわしいといえる。

<9月中にも仮処分の審尋の見込み>
 それに加えて、小倉記念病院は2012年3月末で、それまでの社会保険病院でなくなった。厚生労働省という"お目付け役"は、一民間病院としての監督に過ぎなくなった。
 そのことは、北九州市民の間にも敏感に伝わった。小倉記念病院の新築移転によって社会保険病院として存続したと一安心していたが、この春以降は「延吉先生の病院になったっち言いよるよ」(市民の声)という。
 民間病院になり、厚生労働省という重石が取れ、名実ともに「延吉王国」が完成したことになる。同時に、「王国」の民主化を求める矢が放たれる寸前まで弓は引き絞られ、極限に達していた。

 延吉氏の辞任問題は、理事長・病院長ではないとの確認を求める仮処分申請という法的争いに持ち込まれている。9月中にも、福岡地裁小倉支部で審尋(当事者らが意見を陳述する機会)が開かれるとみられる。延吉氏らは"新理事選任"など既成事実を積み重ねて対抗しており、裁判所の判断が注目される。

(つづく)
【特別取材班】

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