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コダマの核心

丸美の瓦解の必然(12)最終総括(前)二兎追う者一兎も得ず
コダマの核心
2008年8月14日 10:00

運力はあったはずの金丸氏

 筆者は何千社という倒産に立ち会ってきた。様々な経営者と知り合ってきたので、直感で「成功する経営者」「失敗する経営者」と判断できる。まず金丸近氏の印象を経営者分類から結論を下すと、勝ち組の典型的なオーナー社長であると見てきた。(1)決断力があり行動力がある。(2)結果には責任を取る。逃げ隠れしない。(3)商才がある。(4)そして最も重要なことは運力があることだ。確かに同氏には運力があったはずなのだ。

 佐賀銀行のお偉いさんの癇に障って弾き飛ばされたことはこのシリーズで触れた。佐銀から資金を絶たれるという“兵糧攻め”の仕打ちを浴びた。普通の経営者なら根をあげるか自暴自棄になって会社を倒産させていたはずだ(今となればあの時点で倒産していた方が良かったかもしれない)。

金丸氏はその地獄から這い上がってきた。銀行から自立する資金調達法=SPCで武装して再起できた。この根性には感服する。人並み外れた闘争精神が強運を招いたのだ。運力があった金丸氏が何故、倒産に遭遇したのか?月並みの言葉を借りれば「二兎追う者一兎も得ず」であった。

上場を志したのが間違いの元

 金丸氏はひと昔前のワンマンオーナー経営者として大成するタイプに分類されると評価していた。我ままに自分の意思を貫いて隆々した企業を造ることに専念すれば成功していたに違いなかった。上場前には四角四面の組織ルールの導入がある。この組織運営に慣れるには、自分の殻を破らなければならない。本人は「上場して私的会社から公的会社にしたい」と漏らしていたが、自我流のスタイルを貫いてきた。

 上場準備段階での原則的な指導として必ず関連会社を吸収・売却・または清算することになっている。要は本社・本体をシンプルにして隠れ負債・赤字を摘発することにあるのだ。だから金丸氏は、上場の旗を掲げた際に「不動産管理を主軸にした総合不動産業で生きる」と宣言をすれば、事なきを得たと思う(当時の丸美は不動産管理事業の規模では九州でも有数の位置にランクされていた。この事業を中核に据えた戦略を立てるべきであった)。

 ところがだ。「リゾートホテルにも進出」という欲張りな事業戦略を構築した。「いかに霧島でのリゾートホテルの経営の蓄積があったにしろ、熊本の菊南の売り物件に飛びつかねば良かったのに―。上場後ならキャピタルゲインの資金で幾らでもM&Aのチャンスがあるはずだ。『ここは我慢のしどころだ』と堪えるべきであった」と第三者の筆者は悔しがる。上場前の原則経営に徹していればハッピーになれていたはずだ。

 この局面でも金丸氏の自我流の経営手法が垣間見られる。上場する為には一つのルール(型)があるのだから、従うことができなければ諦めるべきだ。また、上場前には監査法人の下で管理され経営内容の公開が義務付けられる。監査法人との軋轢があれば、情報が外部に流れ信用不安を起こす。丸美はまさしくこの法則に嵌ってしまった。

 金丸氏の「上場もしたい、菊南ホテルも欲しい」という二重欲の突っ張りが破綻への道を疾走させた。一般人から集めた会員権の資金を注ぎ込んだリゾート菊南は、経営を軌道に乗せるまでにかなりの時間を要した。その間に、丸美の信用失墜は世間に拡散され、会員権の取り付け騒ぎまで発展した。ついに敢え無く倒産に至ったのだ。 つづく

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