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コダマの核心

丸美 瓦解の必然(10)企みある二代表制の導入
コダマの核心
2008年8月12日 11:16

宮崎氏の人の良さを突く

 2006年3月期で上場はほぼ無理と、関係者もそして当時者である金丸氏も同じ見解を抱いた。そこで打った手は驚くべきと言おうか、意表を突いたと言おうか、二代表制の導入であった。2006年7月に、金丸氏はオーナー兼代表取締役会長に、そして、イチケンの福岡支店長をしていた宮崎氏(2002年6月に丸美に入社)が代表取締役社長に就任した。表向きの説明では「心機一転の体制をとるため」と述べられた。金丸氏の本音は、同氏の長男に対する次期後継者教育を、宮崎氏に頼むというところであった。

 しかし2年前の時点で、金丸氏は53歳である。まだ最前線から引退する年齢ではない。普通であればこの体制には疑問・懐疑を抱く必要がある。オーナー経営者が裏に引くというときには、その真意を掴まなければならない。まず結論から述べると、「宮崎氏を表の顔に立てて、自分は裏でホテル事業を展開すること」が金丸氏の念頭にあったということだ。2006年7月に「リゾート菊南」、12月には「由布院の杜」をオープンした。結局のところ、リゾートホテルへの無茶苦茶な投資が、倒産という事態を招いた最大の要因だ(この倒産へ至る推移については、財務状況などを分析しつつ、次回〔11〕で触れる)。

 我儘なホテル経営を容易にするために、表の顔として宮崎社長を据えて、金丸氏は猪突猛進の経営をしたのである。確かに宮崎社長は、本業のマンション事業、管理事業の本業ではソツなくマネージメントをこなしていった。特に本業の建設の方では、同氏のキャリアが有効に発揮できていた。芝浦特機とタイアップして、太陽光熱を背負ったマンションシリーズは好評を博するところまで行ったのに、今回の倒産は至極、残念だ。とにもかくにも宮崎氏は、社長に抜擢してくれた金丸氏に「恩返しをしよう」と一心不乱に働いた。

経営実態には触れさせずく

 確かに、表の顔としての宮崎社長を金丸氏は大切にした。だが、経営の核心部門=資金繰り=については宮崎氏を一切、関知させなかったようだ。倒産の引き金になったホテル会員権の販売や社債の発行に関して、宮崎氏は門外漢であった。今回の資金パニックという事態に突入して、初めて状況を知ったのが現実だ。この資金管理部門に関しては、金丸氏が一手に仕切っていた。「どこどこのマンション組合に、A君が会員権を10口売ったぞ!!」と士気を高める手立てを講じていた。まさしく、鼻息荒い様子であった。

 そこに「リゾート菊南」の営業が展開された。投資額60億円とみられる。金丸氏の「絶対に成功させる」との意気込みは素晴らしかった。ところが、現実の内容は悲惨なものだ。一瞬にしてリストラ敢行を余儀なくされた。丸美の信用失墜は大きな痛手となった。この後始末には宮崎氏も関わり、「会長への恩返しのチャンス」と睡眠時間を削ってホテルマンの首切り・教育と、相反する業務に専念をした。「リゾート菊南」が、単独事業で黒字を捻出できるところまでに到達したのに、会社は詐欺師呼ばわりされながら、倒産の道を駈け下ったのである。  つづく

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