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東京レポート

田中角栄元首相ゆかりの井上工業が破産(上)
東京レポート
2008年10月30日 13:53

 若き日の田中角栄元首相が勤めていたことで知られる中堅ゼネコンが倒産―。東証2部上場の井上工業(株)(群馬県高崎市、中村剛社長)は10月16日、東京地裁に自己破産を申請した。子会社のフォレスト(同)と合わせた負債は約125億円。約18億円の増資直後に破産という不可解な倒産劇だった。背後には怪しげな人々が跋扈していた。

東京支店に住み込んだ角栄少年

 田中角栄少年が新潟県から上京、井上工業東京支店に入社したのは1934(昭和9)年。住み込み店員として働きながら、神田の中央工学校土木科に通う。2年後に卒業、建築技師として自立することになる。
 井上工業は1888(明治21)年創業の老舗建築会社。創業者の井上保三郎氏は1934年の陸軍大演習の際、昭和天皇に拝謁できたことを機に、戦死者の慰霊を祈願して高崎市の丘陵に観音像を建立。2年余りの歳月をかけて完成。高崎名物、高さ41mの白衣観音だ。

 像の模型を、池袋の制作者のアトリエから日本橋の井上工業東京支店まで自転車で運んだのが、入社して間もない田中角栄少年。「生涯忘れ得ぬ出来事」と述懐している。
 創業者の長男で、二代目社長の井上房一郎氏と田中角栄氏との親密な間柄は有名。元首相の庇護を受けた井上工業は“角栄銘柄”として名が通り、最盛期の1991年3月期の売上高は617億円をあげた。
 だが、バブル期のリゾート開発に失敗して経営が悪化。2000年に特定調停法を申し立て、銀行16行から約142億円の債務免除を受けた。創業者一族は総退陣し、旧建設省OBや大手ゼネコン出身者を社長に迎えて再建に取り組んだ。

ファンドブローカーの登場

 公共工事の削減に伴う受注減で井上工業は経営不振に。債務超過を回避するため05年8月、第三者割当増資を実施して資本を増強。これが怪しげな人々に門戸を開放するきっかけになった。
 新株と新株予約権の発行で、合わせて50億円を調達。全額を建設コンサルタントのケー・シー・エス(東京・文京区)が運営する投資ファンド「KCS総研投資事業組合」が引き受けた。宮城グループと呼ばれるファンド錬金術師たちだ。

 08年4月、東京国税局はファンドブローカーの宮城和良氏ら3人を所得税法違反容疑で東京地検に告発した。宮城グループは資金繰りに窮している上場企業に接近。投資ファンドを引受先とした第三者割当増資を実施させる。グループは調達額の5%をコンサルティング料として受け取り、ファンドの出資者は市場での株売却で、利益を生み出す仕組み。ファンド錬金術と呼ばれている。
 宮城グループは「KCS総研投資事業組合」を使って、ジャスダック上場の日本ファーネス工業(現・NFKホールディングス)とクオンツ、そして井上工業に計191億円をもたらした。その見返りに約9億5,000万円のコンサルティング料を受け取ったが、過少に申告し、脱税した容疑で告発された。(日下淳) 

つづく


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