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東京レポート

ダイナシティの倒産で大火傷を負ったインボイス(上)
東京レポート
2008年11月 5日 10:57

 ヒルズ族から元祖ITベンチャーへの転売――。ライブドアによるダイナシティのインボイスへの売却は、こう呼ばれた。それから2年余。ジャスダック上場のマンション分譲会社ダイナシティ(東京・港区、吉田雅裕社長)は10月31日、民事再生法の適用を東京地裁に申請した。負債総額は520億7,700万円。M&A(合併・買収)は失敗。インボイス(東京・港、高橋俊幸社長)は大火傷を負った。
             
覚醒剤所持で逮捕

 05年6月にダイナシティ創業者の中山諭社長が覚醒剤取締法違反(所持)で現行犯逮捕された。これが、ダイナシティの会社転がしの始まりになった。

 中山諭氏は青森県むつ市出身。一浪して国士舘大学に入学。大学を2年で中退しマンション販売会社のセールスマンに。そこで経験を積み、87年に独立して東邦リアルエステートというマンション販売会社を設立。しかし、バブル崩壊で93年に倒産。翌94年9月に実弟の豊氏を社長にして中興建設を設立して事業を再開。ダイナシティに社名変更した。

 同社が手がけたのはワンルームマンション。これがヒット。倒産から不死鳥のように復活したことから「マンション業界の風雲児」と呼ばれた。株式公開でこれまで手にしたことのない大金が転がり込んでくると、人が変わったように豹変する起業家は少なくない。その典型が中山氏。芸能人やスポーツ選手のタニマチぶりが週刊誌の話題になった。

 逮捕から4カ月後の10月、東京地裁で、懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を受けた。判決によると、中山被告は周りの経営者との交流にコンプレックスを感じ、そのストレスを発散させるために覚醒剤やコカインなどの薬物に依存するようになったという。

問題会社に群がるハゲタカ

 オーナー社長がシャブ漬けで逮捕されて、ダイナシティの争奪戦が始まった。経営者が不祥事を起こしたとき、その企業の株をまず最初に買い占めるのは、村上ファンドの村上世彰被告(証券取引法違反罪で公判中)である。
 社長の逮捕で、1株4万円を超えていたダイナシティの株価は3万円前後まで下落。これをチャンスと判断した村上氏は、ダイナシティ株を5%ほど買い占めた。すでに仕手筋として名を馳せていた村上氏の買い出動で、低迷していたダイナシティ株は急騰。村上ファンドはすかさず全株を売り抜けた。電光石火の早業で、数億円の利益をあげたとされる。

 村上ファンドを模倣したのが、これまた、ライブドアのホリエモンこと堀江貴文被告(証券取引法違反罪で公判中)である。ライブドアは05年12月、ダイナシティと資本提携。ダイナシティのオーナー、中山諭・豊兄弟が持つ約21万株(保有比率21.5%)を約84億円で取得。MSCB(転換価格修正条項付き転換社債)とMSSO(同修正条項付き新株予約権)を200億円分ずつ引き受けた。権利をすべて行使すれば、総投資額は484億円という大型M&Aになる。

 しかし、堀江氏はダイナシティを子会社にして経営するつもりはなかった。引き受け手が確実に儲かるMSCBに開眼した彼はMSCBで荒稼ぎしたかっただけだ。06年の年明け早々に堀江氏が逮捕されてMSCBを利用したマネーゲームは不発に終わったが、ダイナシティからはMSCBで150億円程度荒稼ぎするシナリオを描いていた。摘発されたため、ライブドアは保有しているダイナシティ株を6カ月で転売。次に、ダイナシティを買収したのがインボイスである。(日下淳)

つづく

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