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東京レポート

新日石と新日鉱の統合で始まる 石油業界の大再編(上)
東京レポート
2008年12月16日 10:13

 特石法廃止から12年。石油元売り業界再編の最終章の幕が開いた。業界トップの新日本石油(西尾進路社長)と同6位のジャパンエナジーを傘下にもつ新日鉱ホールディングス(HD、高萩光紀社長)は12月4日、来年10月に共同持ち株会社を設立し、経営統合すると発表した。両社の売上高は09年3月期見込みの単純合計で約13兆円となり、ガソリン販売シェアは合計33%と国内ではダントツの巨大企業が誕生する。

再編を促した特石法

 特定石油製品輸入暫定措置法、略して特石法という。国内石油業者を保護するために1986年1月に施行された時限立法。というより、通産行政に楯突いたガソリンスタンド(GS)業者を締め出すことに本当の狙いがあったことで知られる。
 神奈川県のライオンズ石油という業者が安いガソリンの輸入を計画。これが通産省を揺るがす大事件に発展した。護送船団方式で石油精製業を育ててきた通産省は、ガソリンの輸入を認めてこなかったからだ。
 大阪の堺港にガソリンを積んだタンカーが接岸。しかし、輸入ガソリンは一滴たりとも日本に上陸しなかった。輸入代金を融資することになっていた銀行に手が回り融資がストップしたためだ。この時、生まれたのが特石法。備蓄・精製設備をもつ業者だけに石油の輸入を認め、ライオンズ石油のようなGSが輸入するのはまかりならぬという法律だ。

 前置きはこのほどにして、特石法は元売り業界の再編を促した。10年の時限立法なので、96年には輸入が全面自由化になる。それに対処するには、規模を大きくする必要があったからだ。
 業界再編の第一波は生産・販売の一部自由化の特石法の時代。昭和石油とシェル石油が合併して昭和シェル石油が、大協石油・丸善石油・旧コスモ石油が合併して現コスモ石油が誕生。共同石油と日本鉱業が合併してジャパンエナジー(現・新日鉱HDの傘下)になった。
 第二波は96年の特石法廃止に伴う輸入の全面自由化。大手商社や農協、スーパーなどが直接石油を輸入、販売できるようになった。99年に日本石油と三菱石油が合併して日石三菱(現・新日本石油)が、東燃とゼネラル石油が合併して東燃ゼネラル石油が生まれた。

元売り直販体制

 そして2002年1月、石油業法が廃止。小泉純一郎首相が推進した規制緩和のひとつだ。規制緩和によって出現したのが弱肉強食の世界だった。マージンが大幅に低下。3分の1、場合によっては5分1に引き下げられたという。その結果、猛烈な勢いで特約店、販売店、GSの淘汰が進んだ。かつて全国で5万件以上あったGSは1万件が消えた。
 そして石油元売り会社のGS市場への進出が強まる。セルフGSの登場である。欧米で認められているセルフGSは、日本では消防法の関連で安全性に問題があると認められていなかったが、規制緩和で解禁になった。

 当初、フルサービスに慣れていたため、セルフGSの利用は少なかったが、石油業法廃止以後は、急増していく。セルフGSを突破口に元売り各社は販社による直販体制を築いていった。
 石油業界の根本問題は、国内製油所の精製能力は約2割が過剰という点にある。このため元売り各社の決算は実質営業赤字で、国内のGSの半数以上が赤字とされる。典型的な過当競争の業界なのだ。
 「このままでは石油業界は全滅だ」。元売り、GS双方から悲鳴が起きた。そこで業界リーダーの新日石が動いた。業界再編の第三の波である。(日下淳)

つづく

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