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西松献金事件 「検察リーク」に違法性はないか (2)
政治
2009年3月24日 08:47

(福岡地検情報漏えい事件)

 平成12年、福岡地検の次席検事(当時)による捜査情報漏えい事件が起きた(以下、事件関係者の肩書きは全て当時のもの)。福岡高裁判事の妻による脅迫事件の捜査過程で、福岡地検次席検事が容疑者の夫である判事に捜査情報を告知したとして、国家公務員法100条1項の守秘義務違反に問われたものである。事件を受けた最高検は同事件についての調査と捜査を並行させ、法務省は同年3月、「福岡地方検察庁前次席検事による捜査情報漏えい問題調査結果」を公表する。同調査結果では「捜査機関が、捜査の過程で関係者の協力確保、事案の解明、事件の解決のため、関係者に一定の捜査情報を告知することは、捜査への支障や関係者の名誉の不当な侵害等の弊害が生じないよう、その目的達成のため相当な時期・範囲・手段・方法で行なうことが許される」としたうえで「刑事訴訟法に従って、証拠収集等の目的」に反しなければ、捜査情報の告知は合法と定義した。結果、次席検事の行為は判事への捜査協力を求めたもので「事件つぶし」ではなかったとして守秘義務違反を否定している。当時のこの結論に納得した国民は少なかったはずだが、次席検事が早い段階でその職を去っており、消化不良のまま終わった事件である。
 しかし、次席検事は守秘義務違反では無罪とされたものの、国家公務員法の別の条文に違反していたとして懲戒処分となっていた。一連の次席検事の行為が「検事としての官職の信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となる行為」(前述の調査結果より)であるとして、国家公務員法99条の「信用失墜行為」に該当するというものである。ただし、違法行為が認定された99条には罰則規定がない。事件当時、法務省や検察が「身内に甘い」とされたゆえんである。

(検察リークをあてはめると・・・)

 後にも先にも検察側の情報漏えい事件はこの福岡のケースだけ。したがって、検察側が報道関係者に捜査情報を漏らす行為についての違法性を考えるひとつの参考事例にはなる。
 「捜査機関が、捜査の過程で関係者の協力確保、事案の解明、事件の解決のため、関係者に一定の捜査情報を告知することは、捜査への支障や関係者の名誉の不当な侵害等の弊害が生じないよう、その目的達成のため相当な時期・範囲・手段・方法で行なうことが許される」とする当時の最高検の見解から考えてみると、検察側が捜査の情報を「告知」することは、「関係者」に限りOKということになる。しかし、メディアの記者がこの「関係者」に当たるとは思えない。次に「捜査への支障」ということについては、リーク記事のおかげで証拠隠滅の時間を与える可能性がある以上、OUTと考えざるを得ない。「関係者の名誉の不当な侵害」については、強制捜査にも至っていない事案が、あたかも「事件」のように扱われる現状からしてこれまたOUTというほかない。何より、マスコミへの捜査情報のリークが「証拠収集」という目的のためとはいえないだろう。(つづく)

【頭山 隆】

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