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西松献金事件 「検察リーク」に違法性はないか (3)
政治
2009年3月25日 10:26

 平成12年、福岡地検次席検事による捜査情報漏えい事件を受けて行なわれた最高検の調査結果では、捜査関係者による捜査情報の「告知」についての見解を示している。一部についてもう一度確認しておきたい。
「検察リーク」に違法性はないか?「捜査機関が、捜査の過程で関係者の協力確保、事案の解明、事件の解決等のために、関係者に一定の捜査情報を告知することは、捜査への支障や関係者の名誉の不当な侵害等の弊害が生じないよう、その目的達成のため相当な時期・範囲・手段・方法で行なうことが許されるものであって、この場合には、当該情報の告知に正当な理由があることから、国家公務員法100条1項の『職務上知ることのできた秘密を漏らし』た行為には該当せず、その手段・方法等は、捜査が、刑事訴訟法等に従って、証拠収集等の目的を達成する上で効果的かつ適切と認められる方法を、具体的状況に応じた捜査関係者の臨機応変な判断に基づいて適宜に選択するものであることから、捜査機関の合理的な裁量に委ねられるものであり、その目的に違反した場合に、初めて秘密を漏らす行為との評価を受けるものと解される」
 何とも回りくどい文章だが、「告知」とは捜査情報を漏らすことに他ならない。その「告知」は条件に合致していれば「許される」ことで、正当な理由があれば合法だということ。また、証拠収集の目的であれば「告知」は違法ではないとする。
 最高検の見解は、当時の次席検事が問われた「守秘義務違反」を無罪に導くための「こじつけ」でしかないだろうが、西松建設事件に見られる「検察リーク」は、この最高検の見解に従えば「守秘義務違反」になるのではないか。
 昨日報じたとおり、地検のマスコミへのリークは正当な理由が見当たらない。さらに証拠収集の目的でリークしているとも考えられない。記者に証拠収集を頼めるはずがないからだ。厳密に言えば「リーク」は捜査情報の漏えいであり、「守秘義務違反」となる可能性は否定できない。それではなぜ、検察によるリークがまかり通るのであろう。
 様々なメディアの記者に話を聞いてみたが、一様に「今回のリークの氾濫は、これまでになくひどかった」(新聞)「ちょっと行き過ぎ」(テレビ局)と認める。守秘義務違反についても「突き詰めていえば『捜査情報』を漏らしていることになる」といった意見が大半。しかし「リークされた情報が正しいものばかりではなかった。あえて間違った情報を流すことが『守秘義務違反』となるかは疑問。検察側の言葉に記者が踊らされたという場合は、メディアの責任であって、違法性うんぬんは問えない」(新聞)との意見もあった。
 大手メディアにとって最大の拠り所は、国民の「知る権利」である。事件報道にあたって検察や警察をはじめ事件関係者に取材し、公式に発表していない内容を引き出して記事にすることが使命だと考えている記者ばかりである。それがうまく機能する場合は、新たな事実を白日の下に晒し、事件の真相に迫ることもあろう。しかし、捜査当局側の狙いが「世論操作」にあったとしたら、話は別である。
 西松建設事件で小沢民主党代表の秘書が逮捕されてからは、未確認の情報ばかりが飛び交ってきた。
 事件の方向性が検察の発表ではなく「報道」によって決められてきたといっても過言ではない。そうした状態を招来したのが「検察リーク」であるとしたら、「守秘義務違反」はもちろん、福岡地検のケースにあったような「信用失墜行為」にも当たるということになる。捜査自体が、悪い意味での「国策捜査」であれば、なおさら検察の信用はなくなると思われる。
 裁判員制度のスタートを前に、「リーク」の違法性についてきちんと議論するべきではないだろうか。

【頭山 隆】

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