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三井住友、三菱東京UFJを手玉にとった 詐欺会社、コシ・トラスト(1)
東京レポート
2009年6月 1日 08:00

三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行など、日本を代表するメガバンクを手玉にとった詐欺師がやっと御用になった。警視庁は5月21日、不動産会社、コシ・トラスト(本社・東京都渋谷区=破綻)社長の中林明久容疑者(40)を詐欺容疑で逮捕した。審査が厳しいことで知られるメガバンクが、なぜ簡単に騙されたのか。

<巨額詐欺事件>
 コシ・トラストによる巨額詐欺事件が明るみになったのは、1年前の読売新聞のスクープ記事だった。08年3月13日付で、コシ社が紹介した関連企業60数社に、三井住友銀行が03年11月から05年秋までの3年間に総額約170億円を融資し、うち100億円以上が回収不能になっていると報じた。
 これを機に詐欺師の悪行が次々と露顕。詐欺師が騙したのは三井住友銀行だけではなかった。三菱東京UFJ銀行、地銀大手の千葉銀行、商工ローンのSFCG(旧商工ファンド=破綻)などの面々を手玉にとっていた。
 被害額は膨れた。被害額が最も大きかったのは三井住友銀行。中林容疑者が仕組んだ約80社のコシグループに約612億円を融資、うち約164億円が回収不能になった。
 中小企業が「お百度」を踏んでも、融資に応じてくれないのがメガバンク。コシ社という新興不動産会社が、どうやって審査をくぐり抜けて巨額融資を引き出すことができたのか。不思議というほかはない。
 中林容疑者は東京経済大学卒業後、92年に野村證券に入社。営業で3年を過ごした後、住宅仲介大手のユニハウスに転職、不動産のノウハウを学んだ。その経験を生かし、31歳で起業。2000年7月に、不動産売買・仲介のコシ社を設立した。
 03年ごろから、外資系不動産ファンドの参入で都心の地価が高騰。バブルの再現を思わせるミニバブルが発生した。新興不動産会社にとっては千載一遇のチャンスだ。
 中林容疑者は証券会社で身につけた経験を生かし、不動産証券化など新しいタイプの不動産ビジネスに取り組んだ。ミニバブルの追い風で、オフィス・ビルの転売ビジネスはおもしろいほど儲かった。中古物件を地上げして、外資系不動産投資ファンドに転売するビジネスが隆盛を極めた。
 コシ社も一時はボロ儲け。中林容疑者は、K-1戦士のキックボクサー・天田ヒロミ選手のタニマチにもなったほど羽振りがよかった。
 転売ビジネスに先立つものはカネだ。どうやってカネを集めるか。中林容疑者が資金調達に使ったのが、メガバンクから紹介融資を引き出す手法だった。紹介企業があれば運転資金名目で無担保融資も可能であることに目をつけた。詐欺の手口が、紹介融資だったのである。

~つづく~


【日下淳】

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