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問題企業の駆け込み寺、逮捕された「裏社会の共生者」がやったこと (1)
東京レポート
2009年7月 7日 09:57

 東京地検特捜部は6月24日、ジャスダック上場(当時)の住宅リフォーム会社「ペイントハウス」(東京都多摩市 、現ティエムシー)の3億円架空増資による株価操縦の容疑で、投資顧問会社「ソブリンアセットマネジメントジャパン」(千代田区)社長の阪中彰夫容疑者(58)を逮捕した。問題企業の駆け込み寺として名を馳せた人物だ。

闇社会の水先案内人

 共生者=反社会的勢力と共生する者。この言葉がはじめて登場するのは『平成19年版警察白書』である。暴力団の資金獲得活動に協力する個人やグループのコマンド(戦闘員)と位置付けている。総会屋、事件屋、株の仕手筋は、古くから存在する共生者だ。
 証券市場の規制緩和に乗って、この10年間で暴力団のシノギに手を貸す新たな共生者が登場した。外資系金融機関を渡り歩いてきた元証券マンや元銀行員、そして公認会計士などの金融のプロたちである。ニュータイプの共生者が、暴力団が資金源とする証券市場の水先案内人になった。なかでも、とびきりの凄腕が阪中社長だった。
 阪中社長は一橋大を卒業後、74年に野村證券に入社。古賀信行・野村ホールディングス前社長や北尾吉孝・SBIホールディングス社長とは同期だ。債券ディーラーとして腕を磨いた。87年に退社して外資系証券会社を渡り歩き、99年ソブリン社を設立した。
 日米の政治家や経済人に幅広い人脈を誇る。自慢は、2006年6月、米国のブッシュ大統領主催のホワイトハウスのレセプションに招待されたこと。その際に、ブッシュ夫妻と一緒に撮った写真が経済週刊誌に掲載された。

丸石自転車事件で暗躍

 阪中社長の名前が証券市場で広く知られるようになったのは、架空増資が発覚して04年9月に倒産した東証2部上場の丸石自転車事件だ。乱発された融通手形や株券をめぐり、病院乗っ取り屋、暴力団、金融ブローカーなどの魑魅魍魎が暗躍。丸石自転車が介護ビジネスで提携した医療法人松嶺会もまた、反社会的勢力に侵された病院だ。
 丸石自転車は松嶺会との提携後、7回にわたり総額120億円の増資で大量の株券を発行。しかし、払い込み資金は会社を素通りして、病院乗っ取り屋などの闇の社会に吸い込まれていった。
 阪中社長は、自らが管理する「ロータス投資事業組合」を通じて介入した。
 警視庁による架空増資事件の大詰めを迎え、丸石自転車は上場廃止となり、04年9月倒産。その時に登場するのが阪中社長だ。倒産の直前、丸石自転車はその営業権を滋賀丸石自転車工業に譲渡した。
 実は、滋賀丸石は阪中社長がつくった会社だ。滋賀丸石株を保有するロータス投資事業は、ただちに自転車製造の営業権を付けて滋賀丸石株全株を転売した。売った先は、大証ヘラクレス上場のプライムシステム(現サンライズ・テクノロジー=07年6月上場廃止)。プライム社も架空増資、融通手形乱発に走り、これまた闇の勢力に蹂躙された。プライム社の手形乱発の仕掛人は、丸石や松嶺会を喰った病院乗っ取り屋グループだ。
 プライム社にも阪中社長は介入。04年7月、ロータス投資事業組合は、プライム社が実施した20億円の第三者割当増資を、1株1円で全額引き受けて筆頭株主に躍り出た。上場企業が1株1円で増資に踏み切るのは前代未聞のことだ。
 そしてロータス投資事業組合は、保有している滋賀丸石株の全株を32億円という高値でプライム社に売却した。株券転がしで、無から有を生み出す錬金術。闇の仕事師たちに喰い尽くされた丸石とプライム社の経営統合の橋渡しするシナリオを書いたのが阪中社長だった。これで、阪中社長は悪名を轟かせたのである。

~つづく~

【日下 淳】

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