ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

東京レポート

三井住友と大和、提携解消 頓挫した銀行主導の証券再編(2)
東京レポート
2009年9月 8日 08:00

<微妙な大和証券の立場>
 大和証券グループ本社は、三井住友FGとの関係が深かった。99年4月、大和が60%、旧住友銀行(現三井住友)が40%出資して、法人向けの大和証券SMBCを設立。大手都銀と大手証券が手を結ぶ最初の例となった。
 その直後から、金融再編の大波が押し寄せてきた。メガバンクは3グループに集約。金融持ち株会社の下に銀行、信託、証券、カードなどをぶら下げる総合金融グループとなった。
 証券戦略に出遅れたのが三井住友だ。ライバルは着々と証券部門の強化の手を打ってきた。自前の 証券会社をもたない三井住友は、大和証券SMBCの出資比率を過半数に引き上げて、子会社にしたい意向だった。銀行からの独立性を保ちたい大和はこれを拒否。
 こうした出資比率をめぐる攻防のなかで、三井住友は日興シティグループの買収に乗り出した。個人向け証券を持っていないうえに、法人向けも十分ではないという思いが、5,450億円を投じて買収した理由だ。大和と日興は、ライバル関係にある。それなのに日興が三井住友の子会社になったため、大和の立場は微妙になった。

<出資比率をめぐる攻防>
 念願の証券会社を手に入れた三井住友は、「金融帝国」を築く野望を抱いた。三井住友の次なる狙いは、日興と大和の全面統合。まず日興シティグループ証券と大和証券SMBCの法人部門を統合、統合新会社への出資比率を高めて支配権を確保。次に、大和本社の経営体制の見直しを進めて、最終的に三井住友FG傘下の証券会社に一本化させるシナリオだ。大和を取り込んで、野村HDを抜く日本最大の証券会社にする野望である。
 三井住友の思惑は入り口からつまずいた。大和は、大和証券SMBCと日興シティグループ証券の法人部門の統合には合意した。問題は出資比率。大和60%、三井住友40%の出資比率を変えないことが、統合の条件だと主張した。日興の法人部門はいただくが、日興と一緒になって三井住友の傘下に入るつもりはない、というわけだ。
 大和の拒否反応を百も承知の三井住友は揺さぶりをかけた。三井住友が大和を兵糧攻めにする、という情報が金融界を駆け巡った。大和が三井住友に融資枠の引き上げを求めたところ、断られたというまことしやかな情報だ。
 交渉は難航。出資比率の見直しをめぐる対立は解消できなかった。大和は、日興と統合して三井住友の軍門に入るのではなく、独立を選択した。三井住友が日興と結婚したため、大和は三井住友との内縁関係を解消したようなものだ。三井住友の野望は崩れた。
 一方、大和がどこと再婚するかに注目が集まる。1位の野村HDと2位の大和が統合すれば、独立系の巨大証券会社になるが、大和が飲み込まれることになり考えにくい。銀行からの独立性を掲げる大和は3位の三菱UFJ証券、5位のみずほ証券との提携も難しい。
 リーマン・ショックで幕が開いた銀行主導の証券再編は、三井住友と大和の提携解消で、ひとまず小休止だ。

(了)

【日下 淳】


*記事へのご意見はこちら


※記事へのご意見はこちら

東京レポート一覧
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル