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政界インサイドレポート

幻に終わった「二大政党」政治 滅びゆく自民は「第2の社会党」に
政界インサイドレポート
2009年9月 1日 08:49

 「自民党は巨木に見えるが、内側は腐って大きな空洞ができている。ひと押しすれば音を立てて崩れていく」
 小沢一郎氏がそう喝破して自民党を飛び出し、細川連立内閣を作ったのは1993年のことだった。それから16年、自民党はしぶとく生き続け、巨木はようやく、本当に倒壊した。しかし、その小沢氏もあまりのあっけなさに戸惑っているのではないか。「二大政党制」の議会制民主主義を掲げて悪戦苦闘しながら日本の政治を振り回してきた小沢氏が、政権交代によって作り出したのは二大政党制とは程遠い民主党独裁ともいえる政治体制だったからだ。自民党が政権維持だけを目的に生き延びた16年間の間に、内側はまさに巨大な空洞があいて何もなくなり、新芽を吹かせる生命力を完全に失っていたのである。

<自民新総裁の派閥談合>
 あまりの大敗に呆然とする自民党では、生き残った数少ない議員たちの誰もが同じ言い方をした。
「一から党を立て直すつもりでやる」
 だが滑稽なことに、それは彼らが自民党という政党の寿命が尽きたことをいまだに理解できていないことを物語っている。
 理解できないのも当然だ。この党で辛うじて小選挙区で当選した顔ぶれは、麻生太郎首相を筆頭に、森喜朗氏、福田康夫氏、安倍晋三氏らの首相経験者と、古賀誠氏、二階俊博氏といった派閥領袖たちだ。小選挙区では落選した町村信孝氏、伊吹文明氏、額賀福志郎氏らの領袖も、比例代表で復活当選した。
 「若手や中堅の改革派は枕を並べて討ち死にし、古い自民党政治ばかりが残るゾンビ政党になってしまった。これでどうやって党が生まれ変わることができるのか」
 生き残った数少ない若手議員はそう嘆く。
 国の予算で地元に無駄な公共事業をバンバン落とす利益誘導政治で後援会組織を育て、地盤を固めて当選回数を重ねてきたのがこれまでの自民党政治だった。当然、逆風下でも、吹けば飛ぶような若手より農村部のベテランの方が地力を発揮する。選挙結果にはそれがストレートに反映された。
 だからこそ、この政党には未来がないのである。
 自民党のニューリーダーで残った顔ぶれは、昨年の総裁選に出馬した石破茂氏、石原伸晃氏、小池百合子氏の3人と、菅義偉氏、塩崎恭久氏くらいである。
 9月末に先送りされた総裁選びは、それに舛添要一・厚労相を加えたメンバーが候補になりそうだ。
 「新総裁は来年の参院選の看板だから、表向きは大幅な世代交代にはなるだろうが、実態は生き延びた派閥領袖たちの『ボス交渉』で決まる。麻生政権を支えたことでボスたちの覚えめでたい石原か舛添、それと反省した人事にみえる石破あたりが執行部を担うことになる。中二階組の谷垣禎一もありうる」(自民党参院幹部)
 そんなシナリオが語られているのである。その動きに反発した加藤紘一氏、中川秀直氏らが総裁決定を早める工作を始めているが、所詮は主流派と反主流派の古い政治家同士の主導権争いにすぎない。古い政治家に本気で「退場」を求める若い勢力が見当たらない。
 93年の細川政権で野党になった自民党は、“クリーン”を売り物にしていた河野洋平・前議長(引退)を総裁に据え、村山内閣を経て政権に復帰する段階になると各派が寄ってたかって河野総裁を引きずりおろし、当時の最大派閥・竹下派の橋本龍太郎氏を首相に担いだ。
 あの時と同じことをくり返そうとしているのではないか。そんなことで再建できるほど、この党の病巣は浅くない。

<野党転落で「集票マシン」が崩壊>
 細川政権時代の自民党は、スキャンダルを徹底的に追及して細川内閣、羽田内閣を退陣に追い込み、わずか10カ月で政権与党に返り咲いた。
 「党本部は閑古鳥が鳴いて業界の陳情はぱったり途絶え、献金も細り、役人さえ寄り付こうとしなかった。思い出すだけでぞっとする」
 当時幹事長だった森氏は総選挙前、派閥の議員たちに“野党の恐怖”を繰り返し語っていた。
 だが、今回はその比ではない。
 衆院で308議席という圧倒的多数を得た民主党をコントロールしているのは、細川・羽田政権や新進党時代に、何度も自民党に煮え湯を飲まされてきた小沢一郎氏である。たとえ鳩山内閣が倒れたとしても、民主党には菅直人氏、岡田克也氏とすぐにでも首相が務まる「スペア」がいる。少なくとも、次の総選挙は衆院議員の任期満了までの4年間近く先のことになる。
 問題は、それまで自民党そのものが続くかである。
 自民党の支持基盤は、議員たちが考えているような「保守層」の一般の有権者ではなくなっている。
 保守層はとっくに自民党を見離しており、自民党は公共事業や補助金で結びついた業界に利益を分配する「利益共同体組織」と化していたと言っていい。政権党にあったから票をつなぎとめておくことができたのだ。そうした支持組織が、政権から転落して予算の配分権を失い、最低でも4年間は政権に復帰する可能性がほとんどない政党に“無償の支援”を続けるだろうか。
 この選挙期間中から、民主党への政権交代が確実になると、これまで自民党候補を支援していた業界団体や商工会、中小企業団体が競い合うように対立候補に推薦状を出した。
「後援者の紹介だといって、付き合いのなかった企業が次々に陣中見舞いを持ってきた」(返り咲いた民主党元職)といったケースはざらにある。民主党大勝の理由は、自民党の支持組織そのものが民主党という勝ち馬に乗り換えた、という面が大きい。
 この傾向は、来年の参院選でも変わりそうにない。自民党の参院比例代表には、各省庁ごとの業界団体が政権への発言力を持つために、利益代表を送り出してきた。
 ところが、ある官庁の幹部は「政権を失った自民党に代表を送るメリットは何もない。逆に与党の民主党に睨まれたら大変なことになる。今後、自民党から手を引く方針を決めている」という。
 自民党は集票マシンと資金源の多くを失ったのである。
 二大政党制のイギリスでは、保守党はサッチャー政権が倒れてからブレア政権が誕生するまで、10年をかけて党を立て直した。だが、新芽となる人材も、支持基盤も、保守政党としての理念も壊れてしまった自民党に、再生のエネルギーは残っていない。かつての社会党のように消えていく運命だろう。
 その後に全く新しい保守政党が生まれ、この国に「2大政党政治」が定着するのは、まだ当分先になりそうだ。

【千早 正成】


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