NET-IB NEWSネットアイ

ビーニュース

脱原発・新エネルギーの関連記事はこちら
純広告用VT
カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

追跡!裁判事件簿

仲盛昭二氏一級建築士免許取り消し執行停止判決に対する国土交通省の反応
追跡!裁判事件簿
2009年9月11日 10:05

 2009年6月に、国土交通省がサムシング元代表の仲盛昭二氏に対して一級建築士の免許を取り消したことに対し、仲盛氏側が福岡地裁に取り消し処分の停止を求めていたが、同地裁は9月7日、仲盛氏側の主張をほぼ全面的に認め、執行処分停止の決定を下した(事件概要は最下部に記載)。

判決文の全文はこちら>

 建築士にとって画期的な判決が下され、関係者からの反響も大きい。この件について国土交通省建築指導課にコメントを求めたところ、次のような反応を示した。判決文と読み比べながら、ぜひ関係者の皆さんにもこの裁判について考えてみていただきたい。

 ―今回の判決を受けてどのように感じるか。
 担当者 当方の主張が認められず、たいへん残念だ。今後の対応については、関係機関と協議のうえ考えていきたい。

 ―仲盛氏の一級建築士免許はどうなるのか。一級建築士として仕事はできるのか。
 担当者 執行停止ということで、処分がなかったのと同じ扱いになる。仕事は可能。ただし期限付きだが。処分そのものの内容については基本事件で争うことになる。

 ―点数のつけ方について、20物件で問題があった場合はひとくくりではなく、個々の物件において処分点数を積み上げるのが通常か。
 担当者 今回の点数のつけ方は、ほかのケースでも同様にしている。

 ―過去にこうしたケースはあったか。
 担当者 そもそも、今回のように一級建築士免許取り消し処分の執行停止を求める裁判が起こったケース自体が非常に少ない。

 ―仲盛氏の主張が正しかったと認めるのか。(p13)
 担当者 今回の争点はあくまで2点。1点目は「重大な損害を避けるため緊急の必要があるとき」に該当するか、2点目は「本案について理由がないとみえるとき」に該当するかだ。今回の件で国側は、構造計算書の差し替えについては争点ではないと考えている。20件の物件で、構造計算書に一貫性がなく「不誠実な行為」に当たると判断したことについては、これから基本事件で判決が下されると考えている。

 ―しかし、国側の疎明資料が存在しないと裁判所は判断している。(p14)
 担当者 今回はあくまで「事実の有無について未解明」という段階。これも基本事件で判断がなされると考えている。

 ―国側の意見書で「本案について理由がないとみえるとき」に該当しない理由として、「『偽装』の有無が問題となるものではないし、改良であろうが改悪であろうが、計算の一貫性、再現性のない構造計算書の作成については『不誠実な行為』といわざるをえない」(09年8月14日執行停止申立てに対する意見書(2))としているが、今回の判決を受けてどう判断するか。また、建物自体の安全性は確保されていたのか。
 担当者 まず、建物の安全性については、現在各特定行政庁で確認作業をしている。次に、構造計算書の一貫性については、法的観点に立った場合、結果として建物が安全であっても照合した場合に安全かどうか確認できない計算書については「不誠実な行為」だと判断した。これについては現在も考え方は変わらない。
法的に言えば、きちんと構造計算をして安全性が確かめられたものを建てるように決められている。今回の事件の場合には、構造計算書に一貫性がなく安全性が確かめられず、本当に安全か分からなかったため再度確認した。その結果、多くの建物において安全性が確認できたが、基本的には計算書で安全性が確認できないのは問題だ。

 ―結局、「不誠実な行為」の具体的内容については未解明という理解で良いか。
 担当者 p6-7にあるように、「申立人は、本件構造計算書の作成にあたり、確かに、入力データ部分と、これとは別の入力データによる出力結果部分とを合わせており、これにより作成された、同一の一貫した計算ではない本件構造計算書を、各建築確認申請の際に提出したもの」としている。

 ―しかし、そのあとに「あくまで、各建築物の設計内容に変更があったときに、変更後の入力データによる出力結果部分のみを差し替え、変更前の入力データ部分を変更後の入力データと差し替えていなかっただけであり、偽装はしていない」と仲盛氏側は主張している。この点で考え方が食い違っているという理解で良いか。
 担当者 それについてはこれから基本事件のほうで争われると考えている。

【大根田康介】

【事件概要】
 2005年11月に起きた、姉歯秀次元1級建築士による耐震偽装事件に絡み、主に福岡で1万件以上の構造計算を受注していたサムシングに耐震偽装の疑惑が持ち上がった。国土交通省が622物件を抽出し、設計に不審な点がないか調査を進めた結果、57物件の構造計算書に不備が見つかったとした。また、そのうち計20件で構造計算の入力データと出力データが異なる「差し替え」があったと認定。同省は仲盛昭二元代表が不正に関与していたとして、09年6月19日に仲盛氏の一級建築士免許取り消しを求めた。これに対して仲盛氏は、取り消し処分の執行停止を求める裁判を起こしていた。


*記事へのご意見はこちら

関連記事

powered by weblio


追跡!裁判事件簿一覧
追跡!裁判事件簿
2011年6月17日 14:00
追跡!裁判事件簿
2011年5月11日 12:00
追跡!裁判事件簿
2011年4月26日 10:44
追跡!裁判事件簿
2011年4月19日 10:16
追跡!裁判事件簿
2011年4月11日 11:37
純広告VT
純広告VT

純広告用レクタングル


IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル