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追跡!裁判事件簿

「博多織」裁判、渦中の人に聞く~日本和装HD・吉田重久社長の主張(前)
追跡!裁判事件簿
2011年6月23日 13:00

 伝統工芸品「博多織」の商標をめぐり、2つの組織が裁判で対立している。1つは織元などを中心に構成される博多織工業組合。もう1つは無料着付け教室で成功を収め、「博多帯」を立ち上げたJASDAQ上場企業の日本和装ホールディングス(株)だ。どちらも福岡の地で育まれ、「博多」への熱き想いを抱いているがゆえに衝突してしまった。今回、渦中の博多織工業組合・寺嶋貞夫理事長と日本和装・吉田重久社長の両者に、それぞれの胸中を語ってもらった。

 ―今回、博多織工業組合に訴訟を起こされた件についてお聞かせください。
 
日本和装HD 吉田重久 社長 吉田 その前に、当社のビジネスモデルから説明させていただきたいと思います。卸売、生産者の方に喜んでいただける仕組みと考えていますから、まずスキームを理解してもらいたいのです。

 私は24年前にこの仕事を始めました。着物がどんどん衰退していくなかで、「何か私にできることはないだろうか」と考えました。当時は資金も何もないですから、どうにかして物を動かす仕組みを考えました。

 後藤さんにも昔、何回も取引を申し込んで何回も断られました。泣く子もだまる会社でしたから。倒産時の社長だった後藤純一さんにも、その先代にも「あなたとの取引は無理です」と言われていました。それがいつしか取引するようになったのです。そんな会社はたくさんありますから、個別にはいつからというのは覚えていません。

 ―取引を断られたのは、老舗としてのプライドがあったからですか。

 吉田 そうではなく、当社と取引するということは問屋が消費者の前に直接出るイメージがあったようで、流通の仕組みから無理だということでした。もう何回も断られましたよ。当時は、京都の西陣や室町でも何軒も断られました。

 現在の状況に行きつくまで、ものすごく時間がかかりました。呉服業界は大変複雑ですから。それまでにいろいろな葛藤があって、いろいろなことを言われながら川下から川上まで、ヘトヘトになりながら登っていきました。

 我々は「買う」という意識がある人を見つける。車で言えば、自動車学校で運転手を育てるようなものです。衰退している業界なので、無料で着付け教室を始めました。これも福岡でやっているときに、着付けの先生から「私たちの生活が脅かされる」と訴えられたことがあります。当時はシャンボール大名(中央区)に事務所があり、そこに怒鳴りこまれたことも何回もありました。

 販売の仕組みですが、根本的に在庫を持たないで良いようなビジネスモデルを考えました。「これって少しでも世の中の役に立つんじゃないか」ということで、我々がお客さまをつくっていくから、販売はそちらでしませんかとメーカーや問屋などに話をもちかけるのです。そして、毎日締めで10日後に決済します。つまり、今日売れた分を10日後に当社が全額立て替えてメーカーや問屋などに支払う仕組みです。

 加盟店ということで言えば、当社がメーカーや問屋を審査するわけですが、加盟後には彼らは自分の商品を我が子のように説明するわけです。よその子ども(商品)は褒めるのが難しいですが、自分の子ども(商品)ならそれができます。そこがフランチャイズと勘違いされるのかもしれませんが、そうではありません。あくまで我々は、メーカーや問屋(加盟店)とお客さまを橋渡しする、売れたものを責任をもってお届けする。そしてその保証をするため、加盟するときに当社が十分審査させていただきます。

 加盟店としては、お客さまが「買う」と言ってくれれば、10日後にお金が入ってくるわけです。毎日締めですから。そうして、だいたい年間90~100億円のお金を回しています。

 我々の収入は、手数料および完成品にするときの加工料です。もともと加盟店がお客さまに売るとき、加工料が含まれた価格で販売します。仕立ては当社の方で品質管理させていただく契約で、当社から商品をお届けします。アフターサービスから何からも当社がします。

 そのため、お客さまがお金を払わないということになれば、我々が弁済しなければなりません。ですから、加盟店にとってはそうしたリスクをすべて取っ払うことになります。その代わりに良いものを収めていただくため、京都の「糸の匠センター」に商品を送っていただき、素人目線で検品し、悪いものはすべて返品しています。

 当社の商品ではありませんから厳しくできますが、これが当社の在庫なら「まあいいや」という風になるでしょう。品質を上げるため、心を鬼にした結果です。キャッシュフローを良くして、良い商品が出てくるようになれば、検品の手間も省けます。

 価格が上がらないようにするため、加盟店とはいっさい飲み食いしません。あと、毎年2回、着物・帯それぞれにコンペを行ない、品質や価格を公表してもらいます。そうしておけば、良いものが安く提供できます。

(つづく)

【文・構成:大根田 康介】

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COMPANY INFORMATION
日本和装ホールディングス(株)
所在地:東京都千代田区丸の内1-2-1
設 立:1986年7月
資本金:4億5,963万4,444円
売上高:(10/12連結)63億1,055万円


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