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追跡!裁判事件簿

一級建築士免許取り消し問題 問われる責任の所在(1)
追跡!裁判事件簿
2009年10月 8日 11:24

サムシング元代表・仲盛昭二氏の事例から

 2009年6月19日、国土交通省がサムシング元代表・仲盛昭二氏の一級建築士免許を取り消したことに対し、仲盛氏側が福岡地裁に取り消し処分の停止を求めた。同9月7日、同地裁は仲盛氏側の主張をほぼ全面的に認め、執行処分停止の決定を下した。(決定文の内容についてはこちら

国側の主張しりぞける

 05年11月に起きた、姉歯秀次元一級建築士による耐震偽装事件に絡み、主に福岡で1万件以上の構造計算を受注していたサムシングに耐震偽装の疑惑が持ち上がった。国土交通省が622物件を抽出し、設計に不審な点がないか調査を進めた結果、57物件の構造計算書に不備が見つかったとした。また、そのうち20件で構造計算の入力データと出力データが異なる「差し替え」があり、「一貫性がなく再現性のない不適切な構造計算書」と断定した。

 そこで同省は、仲盛昭二元代表が不誠実な行為をしていたとして、一級建築士免許の取り消し処分を下した。このことが各マスコミでも大々的に報じられたのは記憶に新しい。

 これをもって仲盛氏の建築士人生が断たれたかに見えたが、(A)氏は免許取り消し処分を取り消す訴えを基本事件として、(B)基本事件の判決が確定するまで処分の効力を停止する裁判を起こした。今回の決定は、このうち(B)に関してである。

 当時、仲盛氏は「この処分は到底受け入れられない。私自身、『一級建築士』という資格に未練があるわけではないが、ここで私が処分を甘んじて受け入れれば、住民の方や建築業界に与える影響は計り知れない。行政側の行為はすべて『市民不在』で、『サムシングの仲盛』を構造設計界から追放することが目的としか思えない」と語っていた。

 今回の裁判で仲盛氏は、(1)自身の建築士免許が取り消しになれば仕掛り物件の多額の損害が免れない、(2)構造計算書に一貫性がないことが不誠実な行為と言えるか、また取り消し処分は重過ぎるのではないか、という2点を主張した。

 これに対して決定文では、(1)申立人(仲盛氏)が被る社会的・経済的損害は事後的な金銭賠償によって完全に補填することは極めて困難である、(2)申立人の主張に沿う疎明資料は存在するが、これに反するものはない。仮に申立人が主張する事実が認められるとすれば、不誠実行為に当たらない可能性や裁量権逸脱により違法となる可能性も否定できない。事実の有無については未解明であり、取り消しの執行停止ができないという理由はない、という裁判所の判断が下されていた。

~つづく~

【大根田康介】


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