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「事業仕分け」への疑問
政治
2009年11月16日 08:44

 2010度予算要求の無駄を洗い出す政府・行政刷新会議の「事業仕分け」は13日で3回目を終えた。対象となった事業は、政治家と民間人で構成された「仕分け人」によって、次々と「事業廃止」「予算計上見送り」の判定が下されていく。すでに予算規模にして800億円に上る事業廃止を決めた上、「子ども未来財団」や「農山漁業振興基金」などの公益法人が所管する基金や特別会計のうち約6,000億円を国庫に返納するよう求めている。

 仕分け作業は、自民党政権下に積もり重なった税金の無駄をあぶり出す儀式であるとともに、民主党がマニフェストに掲げた政策を実現するための財源確保にとっても欠かせないものとなっている。税金の無駄使いを省くとしながら、概算要求で過去最高の95兆円に膨らんだ10年度予算の減額も必要だが、「子ども手当」や農家への「戸別所得補償制度」を実現するためには、新たな「埋蔵金」の捻出が必要であり、その成否は政権の評価に直結する。しかし、今回の「事業仕分け」には大きな疑問が生じている。

 13日の仕分け作業では、次世代スーパーコンピューター開発のための予算計上見送りや、電子ビームから発生する放射光を利用して様々な研究・実験をする「スプリング8」など科学技術分野への補助も削減対象となった。小学校の理科の授業に対する文部科学省の事業費廃止にまで踏み込んでいる。「聖域」はないと言いたいらしいが、これは誤りである。

 資源が少ない我が国の産業は、高度な技術力に支えられて世界での地歩を固めてきたのではなかったか。自・公政権下の方針とはいえ「技術立国」の方向性が間違いだったとは思えない。
 民主党の蓮舫参院議員などはスパコンの開発について、舌鋒鋭く「大金をかけて世界一の性能にこだわる必要はない」とまで言い切ったが、未来へのビジョンも示さぬまま、何でも削減では共感を得ることはできまい。仕分け人からは、日本の産業界がどのようにして世界を相手にして行けばいいのか、といった方向性は語られていない。
 理科支援員等配置事業は、子どもの理科離れを改善するため、小学校の5・6年生を対象に、研究者などを理科支援員や特別講師として派遣するもので、10年度には5,000校以上分として予算が計上されていたが、仕分け人は「すべての子どもに平等な機会を与えるべき」「抜本改革が先」などとして「廃止」と判定した。「抜本改革」の内容については、もちろん仕分け人の仕事の範疇には含まれていない。予算を削った後の教育現場への責任も明確にすべきであろう。


 仕分け人たちが、官僚相手に予算を切り捨てる様は、確かに水戸黄門ばりの格好良さがある。しかし行政刷新会議の「事業仕分け」には拘束力がない。無責任に予算を削るパフォーマンスに終わるようでは、国の活力を失いかねない。明確なビジョンを示した上で、整合性のある仕分け作業をすべきである。

【頭山】

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