NET-IB NEWSネットアイ

ビーニュース

脱原発・新エネルギーの関連記事はこちら
純広告用VT
カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

コダマの核心

地獄からの生還(23)~激変には激変の対応で生きる
コダマの核心
2009年12月 1日 10:52

<メインバンクがない>
 穴吹工務店の倒産が各方面に衝撃を投げかけているが、「行き詰るのも当然」と冷静に見ている関係者もいる。その一例が、アンピールシリーズを売り出している新栄住宅(福岡市中央区)だ。まず、同社幹部の証言の一例である。
今年の3月に穴吹工務店に出向していたある銀行マンとは、永い付き合いだった。彼が異動した際に「厳しいなー」と本音を漏らしていたことを耳にした。だから「前途は暗い」とは予測していたが、取締役内の対立が表面化したことを知ったときに「終わった」と判断したそうだ。
 同社の倒産情報から分析するに、『メインバンク不在』が破綻を招いた最大の要因であると結論づける。「一度は潰れたあおぞら銀行がメインでは力不足だ。デベロッパーはいろいろと資金切迫することが多い。その時に『穴吹工務店はうちが面倒をみる』と宣言してくれるほどに力のあるメイン銀行の存在がないと、非常事態からは脱出できない」と指摘する。確かに新栄住宅の場合にも、メインバンクの福岡銀行が「トコトン支援する」と公言してくれたことで周囲は安心した。社内の動揺も阻止できた。また穴吹工務店の場合は全国に物件を供給していた関係で、取引銀行数が膨大に膨れ上がっていた。

<対応能力が鈍い>
 別の観点からの見方もしてくれた。「300人の人員削減が発表されたときに『対応が遅い』と率直に感じた。穴吹工務店の所帯では、少なすぎるリストラだ。3倍くらいの首切りが必要ではなかったのか。福岡でもそうだが、全国のマンション市場は半減している。そういう見通しがなかったのか、不思議でならない。店舗数が多ければ多いほど、経営陣の間では情報の共有が不可欠だ。激変対応に後手後手になった感じがする。というよりも、それ以上に致命的になったのではないか」と読む。
 さすが『激変対応』に成功した新栄住宅の、実体験を踏まえた解説は的確だ。3カ月前、「福岡都市圏の市場は年間6,000戸から3,000戸に縮小する」と予測した。それを前提に、従来の年間400戸供給体制を200戸体制に切り替えた。あらゆるリストラの手立てを迅速に打ったことで功を奏した。と同時に、次の時代への布石を並行して推進したのだ。要は利回り物件の購入である。資金力のある企業は、安く転売されている案件を取得するチャンスである。80億円を限度に、魅力ある不動産に食指を動かしているのだ。
 「次の時代は、フロー(マンション販売主体)では淘汰される。ストックビジネスも育成しないと勝ち残れない」という認識の上に、戦略的な展開をしている。「不動産業の多角化」である。収益物件の買い占めもその一環であり、管理ビジネスの強化も推し進めている。不動産流通にも手を染めてきた。全くの素人の分野だから、人材のスカウトや社員の勉強会なども積極的だ。「成功の体験に酔ってばかりいたら、朝、目が覚めていたら倒産していたということにもなりかねない。時代が激変するということは、我々のビジネス基盤が粉砕されているということだ。無策でいると、明日はまさしく、絶望が迎えに来る」。


*記事へのご意見はこちら

関連記事

powered by weblio


コダマの核心一覧
純広告VT
純広告VT

純広告用レクタングル


IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル